毛量を増やす方法は?「生やす」か「活かす」か「育てる」か!
株式会社スヴェンソン所属。毛髪技能士の資格を有する、髪のプロで構成された編集スタッフ。髪コトを通して、皆さまが抱える髪の悩みや不安、疑問を少しでも解決できるよう、分かりやすく情報を届けていくことを心掛けています。
鏡を見たとき「髪が薄くなってきたかも」と心配になり、自己流で気になる部分をカバーしようと努力しても、なかなかうまくいかないこともあるでしょう。
気になる部分の毛量を増やす方法として、「発毛」「育毛」「増毛」という3種類のアプローチが考えられます。このうち育毛は基本となるアプローチで、発毛や増毛に着手しても、育毛は並行して行うことが重要です。本記事では、薄毛を改善するための毛量を増やすアプローチについて紹介します。
毛量を増やすには発毛?育毛?
毛量を増やす方法として一般的なのは「発毛」と「育毛」ですが、これらは明確に意味が異なるアプローチです。また、「増毛」という選択肢もあります。まずは3種類のアプローチの違いを把握しておきましょう。
薄毛を治療・改善して毛量を増やすなら「発毛」
発毛は一般的に、自然に抜け落ちた毛と同量以上の髪を生やすアプローチです。髪は成長期・退行期・休止期というヘアサイクルを繰り返しており、2〜6年をかけて成長した髪は毛根の位置が浅くなり、新たに成長を始めた髪に押し出されるようにして抜け落ちます。
例えばAGA(男性型脱毛症)を発症すると、髪の成長期が大幅に短縮され、前頭部や頭頂部の抜け毛・薄毛が目立つようになるでしょう。発毛のアプローチとして一般的なものは、専門クリニックでの薄毛治療です。内服薬(飲み薬)または外用薬(塗り薬)の処方を受け、ヘアサイクルの乱れを改善して発毛を促します。
薄毛を予防・改善して毛量を増やすなら「育毛」
育毛は、残存している髪の毛の成長を助けて、太く長く抜けにくい髪に育てるアプローチです。健康な髪の土壌となる頭皮環境を清潔に保ち、栄養状態や血行を改善して、健やかな髪の成長をサポートします。発毛とは違い、新しい髪を生やすアプローチではありません。
一般的なアプローチは、生活習慣の改善や、育毛成分を配合した育毛剤・育毛シャンプーを使うことなどです。薄毛の原因物質の生成を防いで抜け毛の進行を抑制したり、頭皮のコンディションを安定させたりし、生えている髪のハリ・コシやボリューム感の改善を目指します。
薄毛対策をしつつ毛量を増やすなら「増毛」
増毛は、地毛ではない人毛または人工毛を使って、薄くなった部分の髪を人工的に増やすアプローチです。頭皮に髪を植え込む医療行為である「植毛」とは異なります。
増毛の施術の例は、結毛と呼ばれる人毛または人工毛を自身の髪に結び付けるものや、ウィッグと呼ばれる人工毛を植えたベースを髪に編み込んだり頭皮に貼り付けたりするものです。薄毛専門理・美容室などがさまざまな製品・サービスを提供しており、手軽に髪をボリュームアップできます。
発毛剤や薄毛治療の効果を実感できるまでにかかる期間は、早い方で3か月程度です。育毛も、取り組んでから変化が見られるまでに時間を要します。その点、増毛は施術後すぐに変化が分かるため、今すぐ薄毛部分をカバーしたい方にはうってつけのアプローチです。
地毛の総量を増やしたい「発毛派」なら
ヘアサイクルの乱れなど薄毛の原因にアプローチし、毛量を増やしたいなら、専門クリニックに通うのがおすすめです。薄毛の原因となる脱毛症はさまざまですが、AGAの場合、放置していても自然治癒は期待できません。AGA治療は外用薬や内服薬による投薬治療が一般的です。
AGA治療薬は基本的に、外用薬なら発毛促進効果を期待できるミノキシジル、内服薬ならAGAの発症機序に関わる5αリダクターゼの働きを阻害するフィナステリド(プロペシア)またはデュタステリド(ザガーロ)を処方します。費用は薬の組み合わせや量によりますが、月々数千円から3万円程度です。
より高い効果を求める場合は、内服薬・外用薬の処方と並行して注入治療(頭皮に発毛因子を注入する治療方法)も検討できます。ただし、注入治療は1回あたり10万円以上の費用がかかることもあります。
いずれにせよ、治療開始直後に効果が出るものではありません。早い方でも効果の実感までに3か月程度はかかり、1年間継続しても大きな変化が見られないこともあります。治療薬の服用を中断すると再び抜け毛が増えるため、経済的な負担を許容できるかどうかを考慮しましょう。
地毛を何とかして毛量を増やしたい「育毛派」なら
生活習慣やヘアケア習慣の改善など、育毛のアプローチにより健やかな髪が生育しやすい頭皮環境を整えることも考えられます。薄毛治療を選択するとしても、発毛の土壌となる頭皮環境を整える育毛の取り組みは重要です。
栄養バランスに気をつける
食事はビタミン、ミネラル、タンパク質、炭水化物をバランス良く摂取するように意識しましょう。
また、育毛に必要な栄養素が含まれた食材を積極的に取るのもおすすめです。例えば、豆腐や唐辛子を食べることで、発毛や育毛を促す作用のあるIGF-Iが頭皮に増え、毛母細胞が刺激されます。毛母細胞が刺激されることで、抜け毛を抑制できると言われているのです。
質の良い睡眠を取る
髪の成長や頭皮の新陳代謝・修復には成長ホルモンも関わるため、良質な睡眠を取ることも大切です。1日に分泌される成長ホルモンの約7割は睡眠中に、そのうち約7割は入眠後3時間程度の徐波睡眠(深いノンレム睡眠)中に分泌されるとされます。何時に入眠するかではなく、入眠後にいかに深いノンレム睡眠を確保できるかが重要です。
就寝前はアルコールやカフェインの摂取を控え、PCやスマホの使用も避けましょう。また、寝室の温度・湿度・音・光といった環境を整えるなど、熟睡できる習慣を取り入れましょう。
ヘアケアを見直す
頭皮の皮脂や汗、汚れを放置するとかゆみや臭いの原因になりますが、適度な皮脂は乾燥や紫外線によるダメージから頭皮を保護し、水分量やうるおいを保つ役割もあります。
石油系など洗浄力の高いシャンプーでごしごしと洗髪すると、必要な皮脂まで落としてしまい、頭皮のバリア機能を低下させかねません。また、シャンプーの洗い残しも頭皮に刺激を与えます。
かゆみや乾燥などに悩んでいたら、アミノ酸系など低刺激なシャンプーに変えてみましょう。洗髪時にはお湯で予洗いをしてから手で泡立てたシャンプーを使い、指の腹で頭皮を優しく洗い上げ、丁寧にすすぎ洗いをすることがポイントです。頭皮の血行を改善するために、洗髪時に頭皮マッサージを取り入れるのもよいでしょう。
育毛剤を活用する
育毛剤での日頃のケアも大切です。育毛剤の使用目的は、現状の地毛の抜け毛を防ぎつつ、新たな髪の成長を促すことです。そのため、積極的に活用することが推奨されます。
育毛剤の浸透がより効果的になるように頭皮の汚れ、余分な皮脂を取り除くことも重要です。また同時に、髪を作るのに必要な酸素、栄養、水分を運ぶ血流を良くすることも大切です。
ヘアカットで印象を変える
生活習慣やヘアケア習慣の改善に併せて、地毛を活かしたヘアカットで印象を変えることも検討しましょう。長髪だと薄毛部分との毛量や色の濃さの差が目立つため、短めにカットして毛流れ・毛束感やシルエットを調整し、トップにボリュームを出すのがおすすめです。薄毛専門の理・美容室で提案を受けるとよいでしょう。
頭皮の状態にもよりますが、パーマやヘアカラーにも対応できます。施術から時間が経つとヘアスタイルは崩れ、気になる部分をカバーする効果が薄れるため、定期的にカットすることを前提に信頼できる理・美容室を選びましょう。
薄毛専門理・美容室スヴェンソンは、薄毛の悩みを熟知したプロによるデザインカットを提供しています。人目を気にせず相談できるプライベート空間での施術には定評があり、地毛を活かして薄毛を目立たなくし、スタイリッシュに仕上げたい方におすすめです。ご興味のある方は以下よりチェックしてみてください。
ヘアライズ® を試す
髪が細く、毎日のスタイリングが難しい方には、薄毛専門理・美容室スヴェンソン独自のヘアコーティングサービス「ヘアライズ®」もおすすめです。ヘアライズ®の施術は、髪と同じ成分を髪の外側と内側から浸透、吸着させて表面をコーティングするものです。1回の施術で髪のボリュームアップを実感することができます。
髪にハリ・コシが生まれ、ぺたんとしがちな髪にボリュームを出せるサービスです。ヘアスタイリング剤としても利用できる自宅用ジェル「ヘアライズブースト」もセットで提供されるため、毎日のスタイリングが簡単になります。
地毛以外で毛量を増やしてもよい「増毛派」なら
発毛や育毛は効果を実感できるまでに時間を要しますが、増毛なら気になる部分の毛量をすぐに増やせます。増毛法はプロによる施術を受けることが必要です。4パターンの増毛法からニーズに合うものを選べますが、それぞれにメリット・デメリットが異なるため、無理なく継続できるかどうかも検討しましょう。
増毛(結毛・ウィッグ)を活用する
増毛法は、薄毛専門サロンなどで自毛以外の人毛または人工毛を使い、気になる薄毛部分をカバーする製品・サービスです。増毛法は以下4種類に大別され、人工毛を自毛に結び付けたり頭皮に貼り付けたりするか、ウィッグ(かつら)を着用します。
- 編み込み式増毛:特殊な糸を自毛に編み込み、ウィッグを結び付ける増毛法
- 結毛式増毛:自毛1本1本に複数の人工毛を結び付け、髪をボリュームアップさせる増毛法
- 粘着式増毛:人工毛を植え込んだシートを頭皮に直接貼り付ける増毛法
- 着脱式増毛:金属や樹脂製のピンでウィッグを頭皮に固定する増毛法
各種・増毛の特徴と注意点
どの増毛法でも、髪が増える効果をすぐに実感でき、気になる薄毛部分の髪のみを増やせます。一方で、地毛を育てる意識は薄くなりがちです。初回の施術だけでなく継続的なメンテナンスにも費用がかかるため、育毛のアプローチと両立できるかどうかを検討しましょう。4種類の増毛法のメリット・デメリットは以下の通りです。
増毛法の種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
編み込み式増毛 | ・24時間ウィッグを着用したまま過ごせる ・激しい運動をしてもずれにくく、ヘアスタイルをキープしやすい |
・定期的なメンテナンスが必要 ・毛量次第では施術ができない場合も |
結毛式増毛 | ・仕上がりが自然で、周囲に気付かれにくい ・心理的な負担が少なく、気軽に始めやすい。頭皮への負担が少ない |
・人工毛を結び付ける自毛が必要となるため、薄毛が進行していると十分な効果を得られにくい ・髪の成長に伴うメンテナンスが必要 |
粘着式増毛 | ・自毛が全くない部分にも貼り付けられる ・自然な見た目で毛量を一気に増やせる ・強力な接着剤で固定されるため、外れる心配も少ない |
・粘着剤の刺激でかゆみやかぶれが生じることも ・シートを貼り付けた部分を洗浄できず、長期的な連続使用には適さない |
着脱式増毛 | ・着脱が容易で、好きなタイミングで装着 ・取り外しができる ・不要時に取り外しておくと製品が痛みにくい |
・ピンの固定部分に圧力がかかると髪 ・頭皮のストレスになるため、着脱の際には注意が必要 |
まとめ
誰もが本来、「自分の髪だけで何とかしたい」と思っているはず。その方法にこだわることは大事ですし、できるだけ地毛を大事にしていきたいものです。また、増毛(結毛・ウィッグ)に抵抗感がある人も、多くいるでしょう。
しかし、増毛(結毛・ウィッグ)を検討する人も少なくありません。その理由は「なりたい髪型に、すぐなれるから」です。解決の目的をそこに置く方にとって増毛(結毛・ウィッグ)は、時間をかけて地毛を増やす必要もなく希望する毛量やヘアスタイルにすぐに手が届くのです。
ただ、増毛によるスタイルづくりは効果的ですが、地毛を育てる頭皮ケアは同時に行っていきましょう。地毛が維持されることは製品を使うスタイルづくりにとっても大切なことです。髪の毛を増やしたいと思ったとき、さまざまな選択肢があることを覚えておきましょう。
以下の記事では、「薄毛の相談窓口」について解説しています。ぜひこちらもご参考にしてください。
参考文献
https://www.biteki.com/hair/trouble/466572#heading01
https://www.shinjukumc.com/aga/aga_male/medical#mathod
https://www.shokumou.jp/about.php
https://customlife-media.jp/aga-effect
https://scalp-d.angfa-store.jp/column/ikumouzai/