「貼るカツラ」とは?その魅力と利用が向いているケースを解説
ITコンサルタント、まちづくりコーディネーター、行政職員等を経て独立。沖縄-神奈川の二地域居住をしながら、ライターとして活動しています。子供の頃から「毛髪が太い」「きっと将来ハゲない」と親を始めその他大人から言われてきたため、油断しヘアケアを怠ってきました。その結果、額が後退してきており、若干焦っています。
「薄毛が気になるけど、着脱のできるウィッグ(カツラ)だとバレるのが不安」
「ズレる心配のないウィッグが欲しい」
そんな方におすすめなのが、植毛でも着脱式でもない増毛方法の「貼るカツラ」。地肌と強固に貼りつけられるためバレにくく、禿げ上がっている箇所でも貼りつけて増毛できるのが大きな特徴です。しかし、利用にはデメリットもあるため、使う人を選ぶ増毛方法でもあります。
そこで今回は、育毛のプロ監修のもと、貼るカツラの概要や特徴を徹底解説! 利用する上でのメリット・デメリットを、他のウィッグとの比較表で整理しています。この記事をお読みいただければ、貼るカツラがご自身にあっているか、簡単に判断できます。
- 一般社団法人 国際毛髪皮膚科学研究所
- 所長 井上 哲夫
- 1952年、東京生まれ
- 東京理科大学卒業後、総合化粧品メーカーに入社
- ヘアケア・スキンケア商品の研究開発部長を経て、一般社団法人 国際毛髪皮膚科学研究所を設立
- 育毛研究35年、専門分野に取材多数
- 現在までに、全国各地のがん診療拠点病院及び7,000店以上の理美容店、その他各種医療セミナーで講演・指導実績あり
【資格】
生活習慣病予防指導士(日本ホリスティック医学協会認定)、医療機器販売・賃貸管理者及び修理業責任技術者、コスメコンシェルジュ(一般社団法人日本化粧品検定協会認定)
「貼るカツラ」とは?
「貼るカツラ」とは、上の写真のような、粘着テープのある全面シート状のカツラのことをいいます。接着剤(ボンド)を使って頭皮に固定するような、全面シート状のカツラも「貼るカツラ」に含まれます。
また、「貼るカツラ」は「増毛シート」「貼り付け式増毛」「粘着式増毛」「シート式増毛」「ボンディング製品」とも呼ばれることがあります。
「貼るカツラ」を使う4つのメリット
貼るカツラを使う大きなメリットは、以下の4点です。
- 肌に貼り付くので、髪をひっぱられても自然でバレにくい
- お風呂やプールで外す必要のないものが多い
- 短髪のヘアスタイルも違和感なく実現できる
- 地毛がない箇所でも増毛できる
上に記載しているそれぞれのメリットについて、詳細を次から解説していきます。
肌に貼り付くので、髪をひっぱられても自然でバレにくい
カツラの使用を検討する方が心配なのは、ひっぱられたり風に煽られたりすることでカツラが外れ、周囲の人にバレてしまうことではないでしょうか。
貼るカツラは、特殊な接着剤や粘着テープを使うことにより、地肌とカツラを強固に貼り付けることができます。これにより、ひっぱられても地肌が持ち上がるため、簡単には見分けがつきません。正しく装着すれば、風で飛ばされることもありません。
お風呂やプールで外す必要のないものが多い
取り外しのできる金具式のカツラでは、お風呂やプール、海などに入るとズレたり外れたりしてしまいます。そのためカツラだとバレたくない場合、旅行先などでも1人で入浴しなければなりませんし、水泳などはもってのほかです。
ですが貼るカツラには、固定力があり、水に強いタイプもあります。このようなタイプであれば、入浴や水泳時にも、しっかり肌に貼りついたまま。金具式のようにズレたり外れたりする心配なく、入浴や水泳を楽しめます。
短髪のヘアスタイルも違和感なく実現できる
貼るカツラでは、地肌とカツラとの境界線がわかりにくいという特徴があります。そのため、地肌とカツラの境目が目立ちやすい、ベリーショートのような短髪のヘアスタイルも違和感がありません。
地毛がない箇所でも増毛できる
外れたりズレたりしにくい増毛法には、他にも編み込み式などがあります。ですが、編み込み式の増毛法は、地毛に編み込みの土台を作って装着する方法のため、編み込めるだけの毛がないと利用できません。
一方、貼るカツラは地毛がない箇所に貼り付ける仕様となっています。そのため、薄毛が進行し、禿げ上がってしまった箇所でも増毛ができるのです。
ただし一見毛が無いように見える部分に残っている、大切に育ててきた地毛も剃り上げなければなりませんし、かぶれや炎症を起こしやすいというリスクもあります。そのため、利用は慎重に行うことをおすすめします。
「貼るカツラ」が向いているのはこんな人
貼るカツラは、薄毛が進行している方や部分的に禿げ上がった箇所がある方に向いています。具体的には、次のような方です。
- M字はげや額から禿げてきている人
- 円形脱毛症の人
- 地毛が全くない人、地毛を剃ることに抵抗がない人
- 予算に余裕のある人
- 肌が強い人
それぞれ具体的に解説していきます。
M字はげや額から禿げてきている人
「貼るカツラ」は禿げ上がった箇所を部分的に増毛したい方に有効です。そのため、たとえばM字はげであったり、額が後退したりしている人などに向いています。
円形脱毛症の人
同様に、円形脱毛症(単発型・多発型)の方にも、貼るカツラが向いているケースがあります。円形に髪が抜け落ちてしまった箇所だけ、ピンポイントに増毛できるためです。
円形脱毛症の方におすすめのスヴェンソンの貼るカツラについて、以下から詳細をご確認いただけます。円形脱毛症が疑われる方は、まず早めに皮膚科を受診するようにしましょう。
地毛が全くない人、地毛を剃ることに抵抗がない人
貼るカツラを頭皮に接着するには、貼り付け箇所を地毛が全くない状態にする必要があります。そのため、増毛したい箇所が完全に禿げ上がっている方か、残っている地毛を剃るのに抵抗がない方が向いています。
※地毛が全くないと思われる方でも、マイクロスコープで確認すると産毛が残っていることがあります。
予算に余裕がある人
カツラを貼り付けた部分の地毛が少しでも伸びてくると、カツラがはがれる原因になったり見た目が不自然になったりしてしまいます。そのため、2~3週間に一度のメンテナンスが必要になり、その分費用がかかります。
また、強固に貼り付けた製品をはがす作業は製品劣化の原因にもなり、製品の交換頻度が当初の想定より多くなってしまう可能性もあります。
そのため、メンテナンスや交換用の貼るカツラの費用をしっかり負担できる余裕のある人が向いているでしょう。
肌が強い人
次に説明しますが、貼るカツラは皮膚のトラブルを招きやすいというデメリットがあります。そのため、肌の強い人に向いています。
貼るカツラのデメリット3つ
貼るカツラの大きなデメリットは、貼り付けた箇所における皮膚のトラブルを招きやすいという点です。高温多湿な日本では使いづらく、増毛としても主流ではありません。
①皮膚のトラブルを招くリスク
強固に接着するタイプの貼るカツラは、簡単に取り外しができません。そのため、接着面において、炎症や湿疹、かぶれなど、皮膚のトラブルを引き起こしてしまう場合があります。
一度皮膚トラブルが起こってしまうと、それが治るまでの間はもちろん、貼るカツラを使うこと自体推奨できません。せっかく用意したカモフラージュ手段が無駄になってしまいかねないということも注意すべきポイントです。
②接着面の汗や皮脂を洗い流せない
接着面に覆われた頭皮は頻繁に洗うことができません。メンテナンスなどで貼り替えをするまでの間、頭皮の汗や皮脂を洗い流すことができないため、気になるニオイが発生する場合もあります。頭皮の皮膚としての新陳代謝はしているため、頭皮に負担をかけることでの皮膚トラブルが気になるポイントです。
また、貼るカツラの接着面に毛髪が残っている場合、たとえ貴重な産毛であったとしても剃り上げて接着することになります。しかし、この生きている毛根は、汗や皮脂に加え接着剤によりダメージを受け続けることになります。やはり、皮膚のトラブルを招くリスクが高い増毛方法です。
③育毛剤を併用できない
金具式や編み込み式、結毛による増毛法あれば、育毛剤を併用できます。薄毛の進行が目立つ部分を増毛しながら育毛剤などで丈夫に育てていくことができますが、貼るカツラでは薄毛部分を完全に覆ってしまうため、そのような薄毛対策ができません。
貼り付け・金具・編み込み……カツラの装着方法を比較
カツラの装着方法は貼り付けるタイプのものだけではありません。装着方法は大きく以下3種類あります。
- 貼り付け式
- 金具式
- 編み込み式
これら3種類の装着方法には、それぞれ向き・不向きがあります。そのため、自身のライフスタイルにあった装着方法を選ぶことが重要です。
ここで、3種類の装着方法によるカツラのメリット・デメリットついて比較表にして整理してみましたので、ご自身にはどれが向いているかを検討する際にお役立てください。(髪コト編集部による独自調査より)
方式 | 貼り付け式(貼るカツラ) | 金具式 | 編み込み式 |
---|---|---|---|
装着方法 | 粘着式のテープや接着剤で頭皮とウィッグを貼り付ける | ウィッグと地毛を金属製もしくは樹脂製の金具で留める | 自身の頭髪に特殊な糸を編み込んで土台を作り、その土台にウィッグの縁を糸でかがって装着する |
メリット | ・ズレにくい ・つけっぱなしにできる ・ベリーショートのような短髪でも違和感がない ・地毛なしで増毛できる |
・着脱できるため、地肌を清潔に保てる ・薄毛をカバーしながら育毛できる ・メンテナンス周期が長い |
・ズレにくい ・つけっぱなしにできる ・洗髪もでき、地肌を清潔に保てる ・薄毛をカバーしながら育毛できる |
デメリット | ・頭皮や毛根の負担になりやすい ・衛生面やにおいが気になる ・育毛しづらい |
・ズレやすい ・装着部に地毛が必要 ・急な来客等に対応しづらい ・留具部分における脱毛の可能性も |
・装着部に編み込めるだけの地毛が必要 ・大体月1回ほど、専門店へメンテナンスに通う必要がある |
日々のメンテナンス(自分で行う) | ・洗髪はシートの上からそのまま洗う ・ブラッシング |
・外して手元で洗浄 | ・洗髪は通常通り行う ・手入れは専用の洗髪ブラシを推奨 |
サロンでのメンテナンスの間隔 | 1か月に2~3回 | 2~3か月に1回 | 1か月に1回 |
定期メンテナンス(サロンで行う) | ・製品の貼り替え ・地毛の散髪 |
・カツラ製品の修理(製品への追加植毛) ・状態の把握 ・地毛の散髪 |
・編み直しの施術 ・地毛の散髪 ・製品の状態の把握・修理、染毛・パーマ |
定期メンテナンス費用例(1回あたり・税込) | ・地毛カット代 3,300円、1~2か月に1回 ・貼り替え代(サイズによる) ~48㎠ 2,750円 ~97㎠ 4,400円 フリー(最大) 5,500円 |
・地毛カット代 4,400円 ・製品メンテナンス(製品への追加植毛)5,500円~ ※50,000円を超える場合は新しい製品作成を推奨 |
地毛カット・編み込み料金 13,200円 |
備考 | 製品は使い捨ての場合もある |
※この表は横にスクロール可能です
貼り付け式のカツラ
これまで解説した通り、地毛がない場所に貼り付けることができ、ひっぱっても地肌ごと持ち上がるためバレにくいというメリットがあります。
一方で、体質によっては皮膚のトラブルを招きやすく、また育毛剤と併用しての薄毛対策ができない、というデメリットもあります。
詳しくは、先に解説した「『貼るカツラ』を使う4つのメリット」や「貼るカツラのデメリット3つ」をご覧ください。
金具固定式のカツラ
金具で固定するタイプのカツラは、取り外しが容易なので肌を清潔に保てます。
一方で、着脱しやすさの裏返しとして、ズレたり外れたりしやすい点には注意が必要です。
また、装着するには地毛が必要になります。カツラと地毛を金具で留めるため、留めた地毛の部分に負担がかかって脱毛しやすい、というデメリットもあります。
編み込み式のカツラ
編み込み式は、貼り付け式と同様に激しいスポーツをしてもズレたり外れたりする心配がなく、つけっぱなしにできるのが特長です。さらに、貼り付け式とは異なり、地毛と同じ感覚で洗髪できるため、地肌を清潔に保てるというメリットもあります。
しかし、装着には地毛をベースにしますので、編み込みの施術には一定の長さの地毛が必要になります。
薄毛専門美容室スヴェンソンは、髪型を変えるように髪を増やすことが自然な選択肢になってほしいと考えています。「増髪(ぞうはつ)」というコンセプトのもと、髪を増やすことは男磨きのひとつとして、様々なサービスを提供しています。
スヴェンソンでは、独自の特許技術「編み込み式増髪法」を提供していますので、こちらもぜひ検討してみてくださいね。
「貼るカツラ」以外の方法も検討を
貼るカツラはズレにくく装着したままで生活できるメリットがありますが、地肌や毛根の負担になりやすいというデメリットもあります。
カツラを利用する際は、金具式や編み込み式等、他の方法も検討の上、自身にあったタイプのカツラを選んでみてください。
髪コトでは、貼るカツラ以外の増髪法について、メリット・デメリットを解説した記事も掲載しています。以下からご一読ください。
増髪の方法って何がある?メリットやデメリットを徹底解説 増髪は結毛式、編み込み式、金具式、粘着式の4種類。それぞれのメリットデメリットに違いがあります。気になる増髪のメンテナンスについても説明します。
参考文献
https://www.katurawith.com/faq/o_qa/harukatura/
https://www.natural.ne.jp/tsuuhan/paste/
https://www.natural.ne.jp/2020/01/28/zoumou/
https://youpouch.com/2017/12/03/475486/
https://store.shopping.yahoo.co.jp/reizvoll/y05pt011.html
公開日:2021/06/24