かつらの歴史:古代メソポタミアから始まる意外な真実と多様性

    株式会社スヴェンソン所属。毛髪技能士の資格を有する、髪のプロで構成された編集スタッフ。髪コトを通して、皆さまが抱える髪の悩みや不安、疑問を少しでも解決できるよう、分かりやすく情報を届けていくことを心掛けています。

    かつらの歴史はかなり古く、古代メソポタミアに遡り、装飾や権威の象徴として使われてたと考えられています。この記事では、かつらの起源からヨーロッパ貴族における普及、日本での発展、現代の医療用かつらまで、多様なかつら文化の進化について深掘りしていきます。

    古代メソポタミアのかつらの起源

    トルコ・ハサンケイフ城からの街並みとエル・ルズク・ジャーミーとチグリス川
    かつらの歴史は古代メソポタミアにあった?!

    メソポタミアは、かつらの歴史において重要な役割を果たした文化圏だと考えられています。ここでは、かつらの起源だと考えられるシュブ・アドの装飾品とその用途についての一説を紹介します。

    古代メソポタミアに端を発するかつらの役割と歴史

    かつらの起源は、古代メソポタミアにまで遡ることができます。古代メソポタミアでは、かつらは主に権威や地位の象徴として用いられていました。約4500年前のシュメール文明において、かつらは特に宗教儀式や王族の装飾として重要な役割を果たしていたことが確認されています。

    また、出土したシュメールの女性貴族の遺骨には、かつらの装飾が施されていたとされます。この文化は後にエジプトなど他の文明にも広がり、かつらが権威と美の象徴としての役割を持つようになりました。

    シュブ・アドのかつらの発見

    シュメールの女王である「シュブ・アド」の墓からは、彼女が使用した豪華な装飾品や宝飾品が発見されました。その中には環や桑の葉、花飾りのある櫛などで装飾されたかつらのようなものがあり、権威や美を象徴するものだったと考えられています。

    古代メソポタミアのかつらの素材と製作方法

    古代メソポタミアでは、かつらの具体的な素材や製作方法に関する記録は少ないものの、出土品から推測すると、植物や動物の毛などが使われていたと推測されています。身分の高い者が身につける装飾品として、精巧な技術で作られていたと考えられますが、詳細な製作方法は明確ではありません。

    メソポタミアにおけるかつら文化は、その後、エジプトやギリシャへと影響を与え、時代が進むにつれて装飾品や技術も進化していきました。

    ヨーロッパ貴族とかつら

    ルイ13世の銅像
    ルイ13世は薄毛を隠すためにかつらを着用していた?!

    ここでは、かつらがヨーロッパ貴族社会に与えた影響と、その歴史的な意義について詳しく見ていきましょう。薄毛隠しから始まり、権力の象徴となり、さらには裁判所の伝統にまで発展したかつらの興味深い歴史を紹介します。

    かつらが大流行したのは薄毛隠しのため?

    かつらの使用は古代から存在していましたが、17世紀ヨーロッパでの普及はフランス王ルイ13世が薄毛を隠すためにかつらを着用したことがきっかけです。彼の後継者ルイ14世の時代には、かつらが権力の象徴となり、貴族社会で広まりました。

    しかし、かつらの普及には衛生面での利点もありました。当時のヨーロッパでは、髪を洗う習慣がなく、毛じらみに悩まされていたそうです。かつらを使用することで、毛じらみの駆除が容易になり、結果として貴族たちの悩みを解決する一石二鳥の効果がありました。

    かつらは単なる装飾品ではなく、社会的地位や衛生面での重要な役割を果たしていたのです。

    イギリスの法曹ではかつらが必須?

    イギリスの裁判所では、判事や弁護士がかつらを着用する伝統が17世紀から続いてきました。この慣習は、当時の貴族社会のファッションが法廷にも取り入れられたものです。

    しかし、2008年1月1日から民事および家事裁判でのかつらの着用が廃止されました。これは現代化を求める世論に応えたもので、64%が法廷衣装の現代化を支持しました。一方、刑事裁判では依然として伝統的なかつらの使用が続いています。

    フランス宮廷のかつらとファッション文化

    フランス宮廷では、かつらは権力と富の象徴として重視されました。特にルイ14世の時代、かつらの豪華さや大きさは地位を示す重要なアイテムで、宮廷ではそのファッションが競われました。貴族たちは壮麗なかつらを身に着けることで、威厳や地位を誇示しました。

    この文化は髪型にとどまらず、化粧や衣装にまで影響を広げ、フランス革命まで続きます。その後も欧州ファッションに強い影響を与え続けました。

    日本におけるかつらの発展

    かつらを着用しようとする薄毛の男性
    日本初の実用的なかつらは意外と最近?

    日本のかつら文化は、1928年の男性用かつらの登場から始まり、現代では医療用かつらの普及や最新技術の導入まで、目覚ましい発展を遂げています。薄毛に悩む方々に希望をもたらし、社会復帰を支援する重要な役割を果たしてきました。ここでは、日本におけるかつらの歴史的な進化と、現代の市場動向、そして革新的な技術について詳しく見ていきましょう。

    日本初の男性用かつらの歴史

    日本における男性用かつらの歴史は、1928年に「中山かつら店」が人工皮膚や植毛技術を用いて開発・販売を始めたことからスタートします。この技術は、自然な見た目を追求したもので、当時の薄毛に悩む男性に大きな希望を与えました。

    中山かつら店は、その後も業界をリードし、現在では男性用かつらだけでなく、女性用や医療用、お子様用かつらなど、幅広いニーズに応える製品を提供し続けています。

    日本における医療用かつらの普及

    日本における医療用かつらの普及は、がん治療の副作用による脱毛に悩む患者さんの増加と共に進んできました。医療用かつらは、単なる外見の改善だけでなく、患者さんの心理的サポートにも大きな役割を果たしています。

    近年では、素材や製造技術の進歩により、より自然で快適な医療用かつらが開発されています。例えば、通気性に優れた軽量素材の採用や、頭皮にやさしい接着剤の使用など、患者さんの生活の質を向上させる工夫が施されています。

    また、医療機関との連携や、専門のコンサルタントによるサポート体制の充実も、医療用かつらの普及を後押ししています。患者の個別のニーズに合わせたカスタマイズや、メンテナンスサービスの提供など、総合的なケアが重視されるようになってきました。

    医療用かつらは、患者さんの社会復帰や日常生活の質の向上に大きく貢献しており、今後もさらなる進化が期待されています。薄毛専門理・美容室スヴェンソンでも、使い心地が良く、お好みに合わせてカット可能な医療用ウィッグを豊富に取り扱っています。

    かつらや植毛ではなく「本物の髪」を生やす研究が進んでいる?

    現代の日本におけるかつら市場は、驚くべき規模で成長を続けています。国内の男性型脱毛症患者は約1,800万人にも上り、世界のかつらや植毛市場は2028年には年間5兆円規模に達すると予測されています。

    この巨大市場を背景に、かつらの技術革新も加速しています。例えば、理化学研究所の辻孝氏らの研究グループは、再生医療技術を用いて毛包の「タネ」を大量生産し、脱毛症治療に応用する画期的な研究を進めています。

    実用化への道のりはまだ先ではあるものの、この研究が成功すれば、薄毛に悩む方々に希望をもたらすだけでなく、再生医療全体の発展にも大きく貢献する可能性があります。

    まとめ

    病室で医療用ウィッグを持って微笑む患者の女性
    スヴェンソンでは着け心地や自然な見た目にこだわったかつらを用意

    かつらの歴史は古代メソポタミアにまで遡り、装飾や身分の象徴として使用されたと考えられています。その後、ヨーロッパでは貴族の間で薄毛隠しとして流行し、またフランス宮廷では権力と富の象徴として重視されました。

    一方、日本では1928年に初の男性用かつらが登場し、以来、医療用や美容目的など、さまざまな用途で発展した歴史があります。現代では高度な技術と多様な素材を用いて、より自然で快適な製品が提供されています。

    薄毛専門理・美容室スヴェンソンでも、着け心地や自然な見た目にこだわった高品質なかつら・ウィッグを扱っています。また、独自の増毛サービスにも力を入れており、頭髪部分に特殊な3本の糸を使ってウィッグを編み込み装着する「スヴェンソン式増髪法」という特許技術も有しています。頭髪に関するお悩みなら、スヴェンソンに相談してみてはいかがでしょうか。

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