「薄毛のひと」という第一印象ではなくするために
株式会社スヴェンソン所属。毛髪技能士の資格を有する、髪のプロで構成された編集スタッフ。髪コトを通して、皆さまが抱える髪の悩みや不安、疑問を少しでも解決できるよう、分かりやすく情報を届けていくことを心掛けています。
「初対面で容姿のインパクトが強くなり、人としての本質の印象が薄れるよりはいい」
最後に話してくれた、その言葉が印象に残る。聡明で、柔らかい口調の中に、強さがにじむ。
第一印象は大切だ。髪が薄いというだけで、第一印象が「薄毛の人」となってしまうのは、あまりにも心苦しい。社会人になったばかりの頃は、余計にそう感じることもある。
話を聞いていくと、彼は学生時代に薄毛が気になり、父の勧めで増毛を決意したという。就職活動時に一念発起してから約27年。結婚する時も、海外赴任の時も、カツラは自分のすぐ側にあった。「一人の人として、本質の印象を」と願う日々の中で、社会人としての歩みを支えてくれたものでもある。
だからこそ、頭を気にしなくていい道のりを選んで、改めて思うことは、いつか迎える卒業の日。ゆっくりと、これからの未来に思いを馳せながら、これまでの時間を振り返ってくれた。
父の言葉に背中を押されて
1枚の写真がきっかけだった。
学生時代、友人たちと行った旅行先で、風景写真の中に、私の後ろ姿が小さく写り込んでいたのを目にした時だ。
「薄くなったな…」。父も薄毛なので、遺伝するだろうとは思っていたが、抜け毛が増えたことや抜ける毛が細くなったと感じるようにもなっていた。友人からも「薄くなった」と言われていたし、「友人はみんな髪の毛フサフサなのに、なんでオレだけが…」という悔しさのような苦い気持ちも芽生えていた。
それまでは、父が使っていたマイナーな養毛剤を借りていた。20代という若さで養毛剤を買いに行くということには、それなりに抵抗があったのだ。使ったときにすっきりはするが、結局効果は感じられずにいた。
そんな時、父から声を掛けられた。「オレたちの時代と違って今はいいものがたくさんあるから、薄毛が目立つ前に増毛を始めたほうがいいんじゃないか。お金は働いてから返してくれればいいかな」と。
2種類のカツラを使ってみて
そうして就職活動を始める頃、大手メーカーに出向き、取り外し式のカツラを作った。頭頂部を気にしなくなったことは良かったし、風が吹いたり陽が当たったり、白熱灯も怖くはなくなった。だが、止めている場所に負荷がかかって痛くなるし、何より重いので、着けるのが、だんだんきつくなっていった。それに、取り外さないといけないから、仲間や会社の旅行に行くことも嫌なままだった。
取り外し式のカツラをつけて約3年。更に負担を軽くするようなものはないかと探していた時に、編み込み式のカツラに出会った。それは、地毛とカツラを編み込んでしまうものだ。1ヶ月に一回のメンテナンスでいいし、外さなくてもいいから、お風呂に入っても問題がない。泳ぐこともできる。それは、自分の中では大きいことだった。
増毛したあとの周囲の反応とは
編み込み式を着用するようになって、気づけば着脱しなくていいという心理的な負担とメンテナンスの負担が少なくなり、ストレスは減っていた。これまでは気にしてばかりいた頭を、ほとんど気にしなくなった。
周囲の反応も、不安はあったけれど、つけないという選択肢はない。言われたら白状しようと心に決めていたこともあったが、寮で同部屋の同僚だけには自分から打ち明けた。最初は、「そうなんだ」と、どんな反応をしたらいいか困っていたようだったが、「時々メンテナンスするけど」と話すと「構わんよ」と言ってくれた。
大学の友人たちに伝えた時には「そうかもしれないなって思っていたけど」と付け加えながら、「自然だよな」と言ってくれた。そんな言葉に、心がふと軽くなった。
カツラをしたままの海外赴任
それに、編み込み式のカツラにして良かったなと強く思うことが、もう一つある。仕事柄、海外赴任が多いため、海外にネットワークを持っているメーカーだったことだ。
アメリカに赴任する時には、スタッフが現地の店舗を調べてくれて連携を取ってくれた。アメリカなどの海外では、接着剤タイプが普及しているので、地毛とカツラの編み込みをできるスタッフがいた時は対応してもらったが、徐々に接着剤式に移行した。定期的に取り替えないと接着剤が溶けてしまうことは、編み込み式と比べてストレスにはなったのも懐かしい話だ。
特に夏に日本に帰ってくる時は大変だった。湿気なども手伝って、接着剤が溶けてしまうことがあったからヒヤヒヤしたものだ。最近は改良されて、そんなことも少なくなったようだが、編み込み式のカツラの安心感を実感した瞬間でもあった。
「第一印象」とは、つまりこういうことだ
改めて思えば、仕事を始める時にカツラを付けた。それは、薄毛が与えてしまうインパクトで、「薄毛の○○さん」という印象より、一人の社会人として「○○会社の○○さん」と認識されることが大切だ、と考えたことが大きかった。人としての本質の印象が薄れるよりも、増毛したほうがずっといい。
そんなふうにカツラと付き合って、約27年。ずいぶんと長い年月が経った。過去を振り返ると同時に、カツラの卒業時期をゆっくりと考え始めてもいる。年齢相応に白髪交じりにしながら、毛量を減らし、定年退職を迎えるとともに自然な形でやめようかなと、うっすら未来を思い描く。
世界を飛び回っても、大丈夫だった。気になっていた第一印象は、人としての本質を見てもらえるようにもなった。濡れても、風が吹いても、心配はない。少しだけ、寂しい気もするが、今までさまざまな面で満足してこられたから、こんなふうに気持ちのよい卒業の日を、思い浮かべられるのかもしれない。
この物語に出てくる「編み込み式の増髪」はスヴェンソン。スヴェンソンは、髪型を変えるように髪を増やすことが自然な選択肢になってほしいと考えています。「増髪(ぞうはつ)」というコンセプトのもと、髪を増やすことは男磨きのひとつとして、様々なサービスを提供しています。
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公開日:2019/12/25