抜け毛が増えるには訳があった!髪が抜ける仕組みと改善3原則

株式会社スヴェンソン所属。毛髪技能士の資格を有する、髪のプロで構成された編集スタッフ。髪コトを通して、皆さまが抱える髪の悩みや不安、疑問を少しでも解決できるよう、分かりやすく情報を届けていくことを心掛けています。

排水溝にたまった毛

年齢が上がるにつれて、抜ける髪の量が増え、薄毛が気になってきたという方もいらっしゃるのではないでしょうか? 髪の毛にはサイクルがあり、サイクルが乱れると全体の毛量が減ってしまいます。加齢によって薄毛になるケースが多くなりますが、頭皮環境や生活習慣が原因のケースも少なくありません。今回、髪コトでは、髪が抜けるメカニズムや、抜け毛を防ぐ方法をご紹介します。抜け毛にお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。

抜け毛の原因は毛周期の乱れ

髪のサイクル。成長期、退行期、休止期

人間には約10万本の髪の毛が生えており、一定のサイクルで発毛と脱毛を繰り返しています。これを「毛周期」と呼びます。1サイクルが終わるまでの期間は5~6年です。

毛周期には、毛が育って伸びる「成長期(2~6年)」と、抜ける準備に入る「退行期(2~3週間)」、毛根が活動を中止する「休止期(3~6カ月)」があります。頭髪全体を見ると、成長期の毛が80~90%と、もっとも多くなります。そして、約10%が休止期、残りの数%が退行期の毛です。全ての毛が同時に休止期に入ることはなく、常に一定の毛量が保たれています。

しかし、何らかの原因によりサイクルが乱れると、髪が薄くなってきます。年齢が上がるにつれて、成長期に髪が育たないまま退行期に入ってしまったり、休止期が短くなって早くに抜けてしまったりといったケースが増えるのです。毛周期が乱れる原因は、加齢や男性ホルモンにあると考えられています。

男性ホルモンが発毛を妨げるメカニズム

頭髪頭皮の断面図。テストステロン、ジヒドロテストステロン

髪は、外から見える「毛幹」と、頭皮の中にある「毛根部」に分かれています。このうち、毛根部は「皮脂腺」や「立毛筋」、「毛母細胞」といった組織に囲まれているのが特徴です。毛細血管から毛乳頭を通して毛母細胞に栄養が送り込まれ、毛母細胞が分裂することで髪の毛は作られています。

毛乳頭は栄養を取り込むだけでなく、「テストステロン」という男性ホルモンの受容体となる存在です。毛乳頭受容体とテストステロンが結合すると「ジヒドロテストステロン」に変換されます。ジヒドロテストステロンが増えると、毛が十分に育たないうちに休止期に入ってしまうため、抜け毛が増えてしまうのです。

男性ホルモンは、抜け毛に深くかかわっていますが、男性ホルモンの量が多いほど抜け毛が増えるわけではありません。毛乳頭にある受容体の感度が高いほど、薄毛になりやすいとされています。受容体の感度は遺伝によって決まるため、家系に薄毛の方が多い場合は、本人も薄毛になる可能性が高くなります。親族に薄毛の方が多い場合は、早めに対策を始めましょう。

男性ホルモン以外の原因

ストレスを抱える男性、飲酒する男性、頭皮のアップ、爪を立ててシャンプーする男性

男性ホルモン以外にも、抜け毛が増える理由があります。

① ストレス

ストレスも抜け毛の原因になる場合があります。人間の体は、ストレスがかかると自律神経やホルモンバランスが乱れます。すると、血行が悪くなり、頭皮に栄養が行き渡りにくくなってしまうのです。また、円形脱毛症の原因だと考えられている「自己免疫疾患」を引き起こす可能性もあります。

② 生活習慣の乱れ

生活習慣の乱れにもお気をつけください。睡眠不足だったり、必要な栄養が摂れていなかったりすると、髪の成長が妨げられてしまいます。髪の健康を守るためには、できるだけ規則正しい生活を送るようにしましょう。

③ 脂性の頭皮

頭皮が脂っぽいと毛穴が詰まったり、炎症を起こしたりして、毛が生えにくくなります。また、頭皮の皮脂分泌量が過剰になると、「脂漏性脱毛症」になるケースもあります。抜け毛を防ぐためには、常に頭皮を清潔に保つ事が大切です。

④ 間違ったシャンプーの方法

間違ったシャンプーも抜け毛のリスクを高めるため、注意が必要です。爪を立てたり、強くこすったりすると、頭皮が傷ついて抜け毛が増えてしまいます。シャンプーをする際は、指の腹を使って優しく洗うようにしてください。すすぎが不十分な場合も毛穴が詰まって頭皮環境が悪化しやすくなるため、最後は十分に洗い流しましょう。

抜け毛を防ぐには?

抜け毛を防ぐためには、どのような対策を採ったら良いのでしょうか? 対策方法には、次のようなものがあります。

リラックスする男性、バランスの良い食事、シャンプーする男性

① ストレスを解消する

ストレスが溜まっている方は、定期的に解消してください。ストレスの原因を直接取り除くのが理想ですが、難しい場合は良質な睡眠をとったり、入浴してリラックスしたりといった方法でも解消できます。

睡眠は、疲労した体や脳、心を休めるのに最適な方法です。熟睡することによってストレスを緩和できます。ストレスが溜まっていると感じたら、普段よりも早めに寝るようにしましょう。

入浴も心身のリラックスに効果的です。人間は体が温まると副交感神経が優位になって気分が落ち着きます。また、適温での入浴は睡眠の質を上げることにもつながります。定期的にストレスを解消して、髪の健康を維持しましょう。

② 髪に良い食事を取る

バランスの良い食事

健康な髪の毛を作れるように、栄養のある食事を取りましょう。髪の毛は主に「ケラチン」と呼ばれるタンパク質からできています。そのため、タンパク質や、タンパク質を髪の毛に変える亜鉛が不足すると、薄毛のリスクが高まるのです。

タンパク質が多く含まれる食材には肉・魚・豆類、亜鉛が多く含まれる食材には肉・魚・種実・穀類といったものがあります。これらの食材をバランス良く食べるようにしましょう。

反対に、髪に良くない食べ物には、ジャンクフードや甘いもの、脂っこいものがあります。ジャンクフードや甘いものを過剰に摂取すると、腸内の細菌バランスを崩してしまいます。また、頻繁に食べていると、栄養が偏りがちになるのも問題です。スナック菓子や揚げ物といった脂っこい食べ物は、体の血流を滞らせて、皮脂を増やします。髪のためには、できるだけこのような食材を食べ過ぎないのが理想です。

お酒をよく飲む方や、タバコを吸う方は、できるだけ控えましょう。タバコに含まれているニコチンには、血管を収縮させて血流を悪くする作用があります。さらにビタミンCを消費してしまうため、髪に栄養が行き渡りにくくなるのも問題です。

③ シャンプーの仕方に気をつける

側頭部をシャンプーする男性

抜け毛を防ぎたい場合は、シャンプーの仕方に気をつけましょう。おすすめなのが、シャンプー前のブラッシングです。ブラッシングをすることで髪表面の汚れが浮き上がるため、力を入れなくても髪についた汚れを簡単に落とせるようになります。また、ブラシが頭皮を刺激することにより、血行改善も期待できます。

シャンプーをする際は、手のひらを十分に広げて、指の腹でマッサージするように洗いましょう。液状のままシャンプーをつけると毛穴に詰まるおそれがあるため、よく泡立ててから使ってください。頭頂部からではなく後頭部から洗い始めると汚れが落ちやすくなります。洗い終わったら、シャンプーが残らないようにぬるま湯でよくすすぎましょう。

シャンプー後はよく乾かしてください。熱風を一カ所にあて続けると傷みの原因になるため、全体にまんべんなくあてましょう。正しい方法でシャンプーすることで、頭皮環境は改善していきます。

アルコールには、髪の毛の生成に必要なアミノ酸やシステイン、メチオニンといった成分を消費する作用があります。タバコもアルコールも髪の健康を阻害してしまうため、控えめにした方が良いです。

まとめ

抜け毛は主に毛周期の乱れによって起こります。人間の髪は一定のサイクルで脱毛と発毛を繰り返していますが、加齢や男性ホルモンの増加によってサイクルが乱れると、毛量が減ってしまうのです。また、ストレスやシャンプーの仕方、生活習慣の乱れで抜け毛が増えるケースもあります。
抜け毛を防ぐためには、シャンプー方法を見直したり、栄養のある食事を取ったり、ストレスを解消したりといった方法が、すぐに取り組める改善3原則になります。抜け毛が気になり始めた方は、まずはこの3つを意識して生活してみてください。

参考URL

https://www.hairmedical.com/nukege/taisaku/
https://www.hairmedical.com/nukege/meal/
https://www.hairmedical.com/nukege/supplement/
https://www.hairmedical.com/nukege/stress/
https://www.ruan.co.jp/column/mamechishiki/on-the-mechanism-of-hair-growth-and-hair-cycle/
https://sunpac.co.jp/column/stress-accumulates/

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