急に抜け毛が増える原因と対策は?生活習慣と脱毛症のパターン別解説
株式会社スヴェンソン所属。毛髪技能士の資格を有する、髪のプロで構成された編集スタッフ。髪コトを通して、皆さまが抱える髪の悩みや不安、疑問を少しでも解決できるよう、分かりやすく情報を届けていくことを心掛けています。
急に抜け毛が増えたように感じ、どうすればよいか知りたい方もいるのではないでしょうか。抜け毛は生活習慣の変化による一時的なものもあれば、AGA(男性型脱毛症)など脱毛症によるものもあります。
抜け毛の原因や髪の状態に合わせて、最適な対策を検討することが大切です。そこでこの記事では、急に抜け毛が増えたときのチェックポイントや、原因と対処法についてご紹介します。
急に抜け毛が増えたら落ち着いて状態をチェック
洗髪時などに抜け毛が多くなったように感じると、「正常なのか異常なのか」と心配になることもあるでしょう。1日100本程度の抜け毛は正常の範囲内です。季節要因などで一時的に抜け毛が増えることもあります。正常かどうかを判断するには、落ち着いて抜け毛の状態をチェックしましょう。
実は異常ではない?1日に抜ける髪の本数
「抜け毛が多い」とは、具体的に髪が何本抜ける状態のことを指すのでしょうか?
日本皮膚科学会の「皮膚科Q&A」によると、1日100本の抜け毛は正常の範囲内で、髪の毛が抜ける反面でおおよそ100本の髪の毛が再生され、ほぼ一定の髪の毛の本数が保たれるとされています。
1日100本以上の髪の毛が抜けることを「抜け毛が多い」と判定できますが、抜け毛の本数は季節によっても変動します。
明確に原因は解明されていないものの、秋は抜け毛が200~300本でも正常の範囲内と言われているため、季節などの影響も考慮した上で抜け毛の本数が正常の範囲内なのかを判定する必要があります。
抜け毛の本数について、詳しくは「季節のせい?抜け毛が止まらない時に考えられる原因と対策」でも解説しているので併せてご覧ください。
抜けた毛から健康状態をチェックしよう
抜け毛の本数が正常の範囲内かどうかと同じく、抜け毛の健康状態をチェックするのも重要です。
まずは自然に抜けた髪の毛の「毛根部分」に注目してみましょう。
仮に以下のような異常が認められた場合、頭皮環境や髪に何かしらのダメージがあると考えられます。
・毛根が米粒のような楕円形で膨らんでいる
・毛根に白い半透明の薄い膜のような毛根鞘(もうこんしょう)がついている
・粘性の白い付着物(皮脂)がついている
・毛根の形がいびつ(ヒゲやくびれがある)
・毛根がない(小さい)
全ての正常な抜け毛に毛根鞘がついている訳ではないので、正常な毛根の判定は「形状」を重視しましょう。
正常な毛根についている毛根鞘と、異常な毛根についている皮脂は同じ「白い物質」ですが、この2つの見分け方は「粘性があるか否か」です。
毛根についている白い物質に粘性があれば「皮脂のかたまり」、粘性がなければ「毛根鞘」と判断できます。
次に、抜け毛の髪質に注目してください。
これは髪の生え変わりの周期(ヘアサイクル)が、正常かどうかを判断する基準になります。
正常な抜け毛はハリやコシがある太い髪の毛ですが、細くて産毛のような髪の毛であれば、ヘアサイクルが乱れて髪の毛が成長しきれていない異常な抜け毛の可能性があります。
抜け毛の毛根や髪質に異常が出る原因について、詳しくは「男性の薄毛・抜け毛の原因は?髪が生える基礎知識とセルフチェック法」をご覧ください。
一時的に抜け毛が増える主な要因
健康な髪の維持には頭皮環境や栄養状態・血行などさまざまな要素が関わるため、何らかの習慣の変化で一時的に抜け毛が増えることもあるでしょう。とはいえ常態化すると回復に時間がかかる恐れもあります。以下のような項目に思い当たることがあれば、早めの対策が重要です。
日々使用するシャンプーや整髪料を変えた
刺激の強いシャンプーや整髪料に変えたことで頭皮環境が悪化し、抜け毛が増えたのかもしれません。基本的に、シャンプーや整髪料には洗浄成分やスタイリング成分として界面活性剤、さらに香料や着色料などの添加物も配合されています。
頭皮に刺激の強い成分が含まれる場合、洗い残しが原因でかゆみや乾燥が発生し、バリア機能の低下によりダメージを受けやすい状態になることがあります。またセット力の強い整髪料を使用すると、スタイリング時やシャンプー時に髪を引き抜きやすくなっていることも考えられます。
髪や頭皮がぬれたまま過ごすことが多くなった
抜け毛を増やしかねない変化として、「ぬれた髪のまま過ごすことが多くなった」ということも挙げられます。例えば、「時間がない」「面倒くさい」といった理由で洗髪後に自然乾燥をさせる癖がついたり、髪が伸びて根元まで乾かしにくくなったりした場合です。
水分を含んだ髪は乾いているときより柔らかく、ダメージを受けやすい状態になっています。ぬれたまま放置すると髪表面のキューティクルが傷つきやすく、枝毛・切れ毛が増えることもあるでしょう。また、頭皮がぬれたまま放置すると、常在菌が異常繁殖することによるフケ・かゆみなど、頭皮トラブルを招くこともあります。
食生活・睡眠習慣など生活習慣が変わった
髪は毛乳頭からの指示で毛母細胞が分裂・増殖することによって成長しますが、このプロセスに必要な栄養素は食事から摂取し、頭皮の毛細血管を通じて運ばれます。生活習慣の変化により栄養不足や血行不良になると、一時的に抜け毛が増えることもあるでしょう。例えば以下のような変化の影響が考えられます。
- 高脂質・高カロリーな外食やフードデリバリーの利用が増え、栄養バランスが崩れている
- 飲酒量が増え、髪の合成に必要な栄養素がアルコール代謝に消費されている
- 不規則な睡眠や睡眠時間の短縮により、十分な成長ホルモンが分泌されなくなった
- 転職や引っ越しなどのストレスにより、自律神経の乱れで血行不良が慢性化している
ダイエットを始めた/食べ過ぎの傾向がある
過度な食事制限などのダイエットを始めたり、逆にストレスなどで食べ過ぎることが増えたりした場合、抜け毛を増やす要因となっているかもしれません。
髪の生育に必要な栄養素は食事から摂取しますが、食事量が極端に少ない場合、栄養素は生命維持に必要な臓器を優先して消費されます。
逆に食べ過ぎの場合、糖分や塩分を取り過ぎて血液がドロドロになってしまい、栄養が毛乳頭・毛母細胞まで届けられにくくなっていることも考えられます。
抜け毛が多い時に考えられる病気
抜け毛が多いときにまず考えられるのは、頭皮環境や生活習慣の乱れによる「ヘアサイクルの乱れ」です。
ただ、シャンプーや頭皮マッサージなどのヘアケアを徹底して、健康的な生活をしていても抜け毛の本数に変化が現れない場合、何かしらの病気による抜け毛である可能性もあります。
この章では、抜け毛が多いときに考えられるさまざまな病気について解説します。
AGA(男性型脱毛症)
AGA(男性型脱毛症)とは、思春期以降の男性に最もよく見られる薄毛や抜け毛の病気です。
日本皮膚科学会の「皮膚科Q&A」によると、日本人成人男性の約3人に1人がAGAになるとされており、早ければ20代前半からAGAの症状が出始めます。
抜け毛の原因がAGAである場合「ある日突然、異常に抜け毛が増える」ということはなく、数年かけてじわじわと薄毛や抜け毛が進行します。
AGAの症状の特徴
AGAによって薄毛や抜け毛などの症状が発症するのは「前髪の生え際の前頭部」や「つむじ周辺の頭頂部」で、こめかみ周辺の側頭部や後頭部には大きな変化が見られません(理由は後述します)。
以下は日本国内でのAGA治療に用いられる、「ハミルトン・ノーウッド分類」と「高島分類」を複合した、日本人男性のAGAの進行パターンのモデルです。
AGAの進行パターンについて、詳しくは「あなたの生え際はどの形?薄毛タイプから見る初期治療のススメ」をご覧ください。
抜け毛の原因がAGAである場合、他の毛(後頭部の毛など)と比べると、抜け毛が細かったり短かったりするのも特徴的で、頭皮の痛みやかゆみなどは伴いません。
AGAの原因
AGAが発症する原因は、「男性ホルモン」や「遺伝」が関係していると言われています。
男性ホルモンの一種(テストステロン)が前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞に作用し、通常は2年~6年かけて成長するはずの髪の毛のヘアサイクルを乱してしまいます。
この髪の毛のヘアサイクルが乱れることで、髪の毛が成長しきれずに細く短くなって抜けてしまいます。
結果、生えている髪の毛の本数が減り、髪の毛が薄くなっているように見えるのです。
AGAの遺伝性原因について、1948年にアメリカの研究者ハミルトンが「男性型脱毛症と遺伝の関係性」について研究結果を発表しています。
先述した「男性ホルモン(テストステロン)」は、遺伝子要素(母親から受け継がれる性染色体のX染色体)によって、AGAの症状に作用する度合が異なります。
そのため、同じAGAという病気を抱えていても、薄毛や抜け毛の進行には個人差があるのです。
円形脱毛症
円形脱毛症とは、髪の毛や体毛が円類型の脱毛斑となって脱落する後天性脱毛症です。
円形脱毛症は性別や年齢を問わずに発症する病気です。その発症率は人口の1~2%と推測され、特に20代に発症が多い傾向があります。
円形脱毛症は単発(脱毛が1か所)であれば放置しても問題はなく、自然治癒するケースが多いです。
ただし、複数箇所に脱毛が確認されるケースや、それ以上の兆候がみられた場合、脱毛範囲が広くなるケースもあるため放置はおすすめしません。
円形脱毛症で髪の毛が抜けた状態でも、毛根を生成する毛包は存在するため、治療に成功すれば髪の毛は再生されます。
円形脱毛症の症状の特徴
円形脱毛症の症例(家庭の医学 大全科より引用)
円形脱毛症の症状の特徴は、一部分や複数部分の髪の毛や体毛が円類状(円形状や楕円状)で脱落し、脱毛部分の周辺の毛が短く折れた状態になることです。
頭部の髪の毛に現れる円形脱毛症は4つの病型があり、頭皮全体に対する脱毛部位の広さや数によって分類されます。
頭部に現れる円形脱毛症の病型
単発性通常型 | 1か所で髪の毛の脱落が見られる |
---|---|
多発性通常型 | 複数か所で髪の毛の脱落が見られる |
全頭型 | 髪の毛が全て脱毛する |
蛇行型 | 側頭部と後頭部の生え際から脱毛する |
※表は横スクロール可能です
ごく稀に髪の毛とそれ以外のありとあらゆる体毛が脱毛する病型もあり、これを「汎発性(ばんぱつせい)脱毛症」と呼びます。
円形脱毛症の特徴は抜け毛以外にも、爪に「小さな凹み」や「爪の横の溝の変化」などの症状が、患者全体の4分の1に見られるのも特徴の1つです。
円形脱毛症は自覚症状がないのが一般的ですが、脱毛部分に軽度のかゆみや違和感を伴うケースもあります。
円形脱毛症の原因
円形脱毛症が発症する原因は、毛髪や体毛が成長している時期にリンパ球の攻撃を受けて毛包組織が壊される「自己免疫疾患」ですが、どうして自己免疫疾患が誘因されるのかは未だに解明されていません。
自己免疫疾患が誘因されるのはさまざまな要因が考えられ、「アトピー素因」「遺伝」「合併症」「精神的ストレス」などが挙げられます。
円形脱毛症とアトピー素因
国内の調査結果によると、円形脱毛症の患者200名のうち、患者本人にアトピー素因があるケースが82例(全体の41%)を占め、さらに家族にもアトピー素因があるケースは108例(全体の54%)とされています。
このアトピー素因とは、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎などの「アトピー性疾患」を指します。
円形脱毛症と遺伝
中国での大規模疫学調査によると、患者全体の8.4%で家族にも円形脱毛症になった人がいたとデータが出ています。
一親等(親と子)など患者との関係が近いほど発症率は高くなり、一卵性双生児では55%が双子の両方で円形脱毛症を発症するという調査結果も報告されています。
円形脱毛症と合併症
円形脱毛症には自己免疫性疾患が合併すると言われており、甲状腺疾患・尋常性白斑・SLE・関節リウマチ・Ⅰ型糖尿病などが挙げられます。
日本皮膚科学会によると、甲状腺疾患や患者全体の8%、尋常性白斑は全体の4%が円形脱毛症の合併率が報告されています。
円形脱毛症と精神的ストレス
一般的に「円形脱毛症=精神的ストレス」と思われていますが、精神的ストレスが全ての円形脱毛症を誘発する訳ではありません。
現在でも精神的ストレスが円形脱毛症に関与しているか否かの科学的根拠は乏しく、あくまで自己免疫疾患を引き起こす可能性のひとつとして考えられています。
粃糠(ひこう)性脱毛症
粃糠(ひこう)性脱毛症とは、脂漏(しろう)性皮膚炎の発症に脱毛が伴ったものと考えられており、特に思春期以降の男性に多い病気です。
基本は頭皮を清潔に保つことが大切で、ステロイド外用薬などを塗布して頭皮の炎症を抑え、同時にかゆみ止めの抗ヒスタミンなどを内服して治療を行います。
慢性や再発性で数か月から数年症状が続いた後に治癒していくため、根気よく治療を続ける必要があります。
粃糠(ひこう)性脱毛症の症状の特徴
粃糠性脱毛症の症状が現れる前に、脂漏性皮膚炎による頭皮のフケや炎症などの症状から始まります。
脂漏性皮膚炎の症状は、頭全体に灰白色の頑固なフケや、紅斑(ピンク色のアザのようなもの)が生じ、軽度のかゆみを伴うのが特徴です。
頭部や顔に症状が出るケースが多いですが、中には皮脂の分泌が多くなったり、顔・脇の下・鼠径部(※)・胸部・背中の上部に症状が現れたりするケースもあります。
※鼠径部(そけいぶ)…太ももの付け根と下腹部の境目
粃糠性脱毛症の症状は脂漏性皮膚炎の症状が進行した後に始まり、初期の段階では髪質は細く乾燥し、前頭部から頭頂部にかけて細い髪の毛が生えて拡大していきます。
粃糠性脱毛症の症状を放置すると発毛障害となり、最終的に髪の毛が完全に抜けてしまいます。
粃糠(ひこう)性脱毛症の原因
脂漏性皮膚炎が発症して粃糠性脱毛症になるには、以下のような流れが考えられています。
粃糠性脱毛症になる原因
①脂漏性皮膚炎によって頭部全体にフケが発生
②フケが頭皮の毛穴をふさぐ
③塞がれた毛穴の中で脂分が増える
④毛穴に常在菌(マセラチア)が繁殖する
⑤常在菌によって毛根が炎症
⑥毛根の炎症によって脱毛を引き起こす(粃糠性脱毛症)
脂漏性皮膚炎の詳しい発症原因は解明されていませんが、体質や環境、皮膚に在住する常在菌(マセラチア)によって皮膚炎が引き起こされるという説が有力です。
成人の脂漏性皮膚炎の場合、以下のようなものが脂漏性皮膚炎によるフケが生じる原因と言われています。
- 皮脂の汚れをよく落とせていない
- ビタミンB群が不足している
- ストレスによるホルモンバランスの乱れ
- アレルギー体質
女性に多く見られる抜け毛の病気
ここまで、主に男性の抜け毛の原因となる病気を紹介してきましたが、女性に多く見られる抜け毛の病気もあります。
ここでは女性に多く見られる、抜け毛が多くなる病気について解説していきます。
女性男性型脱毛症(FAGA)
女性男性型脱毛症(FAGA)とは、女性に発症する男性型脱毛症(AGA)のことを指し、「びまん性脱毛症」と呼ばれることもあります。
先述したように、AGAは男性ホルモンの一種「テストステロン」が毛乳頭細胞に作用をして、薄毛や抜け毛を引き起こす病気です。
女性も男性ホルモン「テストステロン」は存在していますが、その濃度は男性の1/20と少なく、さらに女性ホルモン「エストロゲン」が作用して薄毛を防いでいます。
ただ何らかの原因で女性ホルモン分泌が減少して、男性ホルモン分泌が多くなったとき、女性でもAGAのような薄毛や抜け毛の症状が出てしまいます。
女性ホルモンが減少するのは、加齢・ストレス・生活習慣の乱れが原因と言われていますが、一定量の女性ホルモンの分泌は保たれるためAGAの薄毛や抜け毛とは症状が異なります。
女性男性型脱毛症(FAGA)の場合、髪の毛全体が薄くなる・頭頂部の薄毛が目立つ・髪が細くなるのが特徴です。
慢性甲状腺炎(橋本病)
慢性甲状腺炎とは甲状腺に炎症が起きる病気で、別名「橋本病」とも呼ばれています。
30~40代の女性に発症する割合が多い病気で、男女比率は「男1:女20~30」と言われていますが、男性に例がない訳ではありません。
本来はウイルスなどから体を守るはずの自己免疫機能が、自分の体を攻撃してしまう免疫異常が原因とされていますが、どのようなきっかけで発症するのかは明らかになっていません。
免疫異常によって甲状腺が炎症を起こして腫れ、甲状腺のホルモンが低下することで以下のような症状が現れます。
慢性甲状腺炎による症状
髪の毛が減る(薄毛)・全身の浮腫み・汗の量が減る・皮膚の乾燥・食欲不振・寒さを感じやすい・便秘など
ただし、甲状腺のホルモンが低下するのは橋本病の患者全体の10%、軽度の低下は20%、あとの70%は甲状腺機能は正常です。
トリコチロマニア(抜毛症・抜毛癖)
トリコチロマニア(抜毛症・抜毛癖)の症例(家庭の医学 大全科より引用)
トリコチロマニアとは、自分の髪の毛を癖で引き抜くことを繰り返すことによって脱毛状態になることで、別名「抜毛症」や「抜毛癖」とも呼ばれています。
成人患者の9割が女性で、特に利き手側の髪の毛の一部や全てを引き抜くケースが多く、境界のはっきりした短髪部分が前頭部や側頭部などにあるのが特徴です(眉毛やまつげを抜くケースもあります)。
髪の毛を抜くことで、欲求不満や精神的ストレスによる緊張感や不安を和らげようとするのが原因です。
トリコチロマニアによる脱毛に対する治療は必要ありませんが、皮膚科だけではなく精神科に相談が必要になるケースもあります。
産後の抜け毛
産後の脱毛とは、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌低下により、一時的に髪の毛が減少することです。
米国皮膚科学会によると、出産3~4か月後に抜け毛が始まり、数週間でピークを向かえるものの、1年以内には自然に元に戻るとされています。
産後の抜け毛に対する治療には、いろいろな選択肢があります。鉄や亜鉛をはじめとする栄養素の積極的な摂取や医療用サプリメントの内服、最近では頭皮に直接注射を打ったり、発毛剤の使用が可能だったりすることもあります。
もし、出産から1年を経過しても抜け毛が多い場合は、皮膚科の受診をするとよいでしょう。
全身性エリテマトーデス(膠原病の一種)
全身性エリテマトーデス(SLE)とは、慢性の炎症性の自己免疫結合組織疾患で、日本では「指定難病49」になっています。
日本全国に6~10万人の患者がいると考えられており、男女比率は「男1:女9」と比較的女性に多い病気です。
患者全体の70~90%は妊娠可能な年齢の女性ですが、高齢になると男女差が少なくなります。
全身性エリマトーデスで「自己免疫機能がどうして自分の体を攻撃するのか」という原因はまだ解明されていません。
全身性エリテマトーデスの症状は、以下のようなものが挙げられますが、人によって症状はさまざまです。
- 全身性エリテマトーデスの症状
- 片頭痛やてんかん
- 発熱や倦怠感
- 関節の異常(関節痛から炎症までさまざま)
- 皮膚の赤み(頬部発疹や蝶形紅斑)
- 粘膜部分に潰瘍
- 全身や局所の脱毛
- 肺・心臓・リンパ節・脾臓・神経系の異常など
脱毛症が疑われる場合は専門クリニックへ
抜け毛が多くなる病気について、ここでもう一度復習しておきましょう。
病気 | 特徴 |
---|---|
AGA(男性型脱毛症) | ✓前髪の生え際や頭頂部が薄くなる ✓数年かけてじわじわと進行する ✓抜け毛が細く短い ✓痒み・痛み・皮膚の炎症はなし |
円形脱毛症 | ✓円類型の脱毛が突然できる (全頭や蛇行型の可能性もあり) ✓1か所~複数に脱毛が確認できる ✓基本的に自覚症状はない (違和感を覚えるケースもあり) |
粃糠性脱毛症 | ✓頭皮全体に灰白色のフケが出る ✓頭皮にピンク色のアザのようなものができる ✓脂漏性皮膚炎の症状が出た後に脱毛が始まる ✓髪が細くもろくなる ✓患部に軽度の痒みを伴う |
※表は横スクロール可能です
- 抜け毛の病気(女性に多い病気)
- 女性男性型脱毛症(FAGA)
- 慢性甲状腺炎(橋本病)
- トリコチロマニア(抜毛症 / 抜毛癖)
- 産後の抜け毛
- 全身性エリテマトーデス
抜け毛の病気が疑われる方は、すぐに病院(皮膚科)を受診することをおすすめします。
今回ご紹介した抜け毛の症状が見られる病気の中には、自然治癒する病気もありますが、放置して症状を悪化させてしまうと治療に長期間かかってしまいます。
まずはお近くの皮膚科で抜け毛の原因となる病気が何なのかを診断してもらい、正しい治療を受けましょう。
抜け毛が増えたら取り入れたい対策
抜け毛が増えたら、ヘアケア習慣を見直すことが大切です。頭皮に優しいシャンプーでしっかりと洗髪し、洗髪後はドライヤーで完全に乾かしましょう。栄養バランスや血行を改善することも重要です。視線が気になる場合、手軽な対策として、帽子やバンダナでカバーすることも考えられます。
頭皮に優しいシャンプーでしっかりと洗髪する
抜け毛予防のヘアケアとして重要なことのひとつは、アミノ酸系など低刺激なシャンプーを使い、優しくしっかりと頭皮を洗い上げることです。天然由来の有効成分を配合したものを使うのもよいでしょう。
洗髪時にはまずお湯で予洗いをしてから、泡立てたシャンプーを使い、指の腹で優しくマッサージするように洗うのがポイントです。シャンプー後は泡・汚れをしっかりとすすぎ落とし、刺激物が頭皮に残らないようにしましょう。
シャンプー選びに悩んだら、薄毛専門理・美容室スヴェンソンの「ヘアライズ® TIスカルプシャンプー」がおすすめです。7つのフリー処方で頭皮に優しく、抗菌・保湿・抗炎症などに効果のある天然由来の有効成分をバランスよく配合しているため、抜け毛予防に役立ちます。ご興味のある方は以下よりチェックしてみてください。
洗髪後はドライヤーで完全に乾かす
洗髪後は髪をしっかりと乾かし、髪へのダメージや頭皮環境の悪化を避けることも大切です。髪がぬれた状態は小さな摩擦力でも傷みやすいため、タオルを優しく当て、水分を十分に吸い取りましょう。
ドライヤーを当てる際、空いているほうの指を小刻みに動かし、根元にしっかりと風を入れて乾かすのがポイントです。ドライヤーを当て続けて髪のタンパク質が変性するほどの高温になることは考えにくいものの、抜け毛が見られるなら、なるべく低温・弱風または冷風にして頭皮への刺激を抑えるとよいでしょう。
栄養バランスや血行を改善する
毛乳頭・毛母細胞に十分な栄養を届けることも重要です。髪の大部分はタンパク質の一種ケラチンで構成されており、食事から摂取したタンパク質は体内でアミノ酸に分解され、ケラチンに再合成されます。ミネラルの一種である亜鉛はケラチンを再合成する際に必要な栄養素です。またビタミン群は亜鉛の働きを助けます。
タンパク質・ミネラル・ビタミン群は頭皮のバリア機能や良好な血行の維持にも作用するため、日々の食事からバランスよく摂取することが大切です。さらに軽い運動でストレス解消をしたり、リラックスして良質な睡眠を取ったりし、血行や自律神経・ホルモンバランスの乱れを改善することも心がけましょう。
帽子やバンダナでカモフラージュする
薄毛対策のひとつとして、「帽子」や「バンダナ」などの身近なアイテムを使ってカモフラージュするのもいいでしょう。
これらは、紫外線などによる頭皮への刺激を回避できるというメリットもあります。
【帽子】
帽子といえばさまざまなデザインがありますが、男性(特に面長の方)はつば付きのキャップがおすすめです。落ち着いた雰囲気を出したい人は、レザー生地やブラックのキャップを選ぶとよいでしょう。
【バンダナ】
バンダナは通気性が良く頻繁に洗濯ができるため、蒸れを気にされる方や頭皮に外用薬を塗布されている方におすすめです。
静電気は頭皮への負担の原因となるため、静電気をなるべく起こさない、綿やシルク素材のバンダナを選ぶとよいでしょう。帽子と同様、落ち着いた雰囲気を出すにはネイビーやブラックがおすすめです。
脱毛症による抜け毛はプロの施術で上手にカバー
抜け毛の原因がAGAなどの脱毛症なら、早めに専門クリニックを受診することが重要です。ただし症状が改善するまでには時間がかかります。気になる薄毛部分を上手にカバーするなら、薄毛専門理・美容室でプロの施術を受けるのがおすすめです。
1.髪型を工夫する
最も手軽な対策が、髪型を工夫して薄毛をカバーする方法です。
髪型を変えるだけで、生え際や頭頂部の薄毛を目立たないようにすることが可能です。
薄毛を気にされる方はつい髪を伸ばして隠しがちですが、髪を長くするとボリュームダウンを促し、逆に薄毛が目立ってしまいます。
この写真のように、薄毛専門のヘアサロンでポイントを押さえてヘアカットをし、薄毛が目立たなくなった事例が沢山あります。
ただ、薄毛専門のヘアサロンはAGAが原因で薄毛になっている方が対象であり、円形脱毛症、粃糠(ひこう)性脱毛症などの病気による薄毛の方はサービスを受けられないことが多いこともありますので、ご了承ください。
薄毛専門サロンとして代表的なスヴェンソンで、ヘアカットから薄髪対策を始めてみましょう。
スヴェンソンは、「増髪(ぞうはつ)」というコンセプトのもと、髪を増やすことは男磨きのひとつとして、さまざまなサービスを提供しています。
AGAによる薄毛をカモフラージュするために髪型で一工夫してみたい方は、「薄毛の方でもカット次第でイケてる髪型に!これだけ変わるビフォーアフター6選」も併せてご覧ください。
2.「部分増髪」をする
現在の髪の毛だけでは薄毛をカバーできない人でも、気になる部分に増髪するだけで印象は大きく変わります。
スヴェンソンには、独自の特許技術による部分増髪サービス「マイヘアプラス」があります。
※スヴェンソンの「マイヘアプラス」によるビフォーアフター
地毛1本1本に人工毛をジョイントさせる増髪方法ですが、地毛への負担は一切ありません。仕上がりも自然であり、地毛を最大限に活かしたスタイリングが楽しめます。育毛剤などの使用も可能なため、育毛しながら髪をボリュームアップできるのが魅力です。
マイヘアプラスについて詳しく知りたい人は以下のページをご覧ください。
3.ウィッグを使用する
※スヴェンソンの編み込み式増髪(ウィッグ)によるビフォーアフター
スヴェンソンには「編み込み式増髪法」というウィッグ増髪もあります。
編み込み式増髪法では、自身の頭皮に特殊な3本の糸を使って編み込んで土台を作り、その土台にウィッグを装着します。
3本の糸を編み込むだけですが安定感があり、24時間着脱不要。激しい運動をしてもズレたり取れる心配はありません。
スヴェンソンの「編み込み式増髪」について、詳しくは以下のページをご覧ください。
4.「つけ毛」を使用する
円形脱毛症の場合は、脱毛部分だけを隠す「つけ毛」を使用するのもいいでしょう。
スヴェンソンの「スポットヘア®」では、脱毛部分にぴったりとフィットする方専用のつけ毛を提供してくれます。
地毛となじみやすいように加工した人毛は、ナチュラルブラックとダークブラウンの2色から選べます。
スヴェンソンのスポットヘア®について詳しくは以下のページをご覧ください。
かつらによる増毛について、詳しくは「増毛の方法って何がある?メリットやデメリットを徹底解説」をご覧ください。
まとめ
生活習慣の変化で一時的に抜け毛が増えたなら、栄養バランスや血行に気を付けつつ、ヘアケア習慣を改善することが大切です。脱毛症による抜け毛で薄毛や透け感が目立つ場合、ヘアカットやウィッグなどで上手にカバーすることも検討しましょう。
薄毛専門理・美容室スヴェンソンなら、デザインカットや頭皮ケア・頭皮クレンジングから独自の増髪法まで、多彩なサービスに初回限定価格・体験を用意しています。抜け毛の悩みに合わせて最適なアプローチを提案できるため、まずはお気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
参考文献
日本皮膚科学会「円形脱毛症診療ガイドライン2017年版」
日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「毛の生え変わりというのは、どんなことですか?」
日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「男性型脱毛症の軟毛化の原因は何ですか?」
日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「円形脱毛症というのはどんな脱毛症ですか?」
日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「トリコチロマニア(抜毛癖)はどんな脱毛症ですか?」
MSDマニュアル家庭版「円形脱毛症」
MSDマニュアル家庭版「全身性エリテマトーデス(SLE)」
MSDマニュアルプロフェッショナル版「抜毛症(トリコチロマニア)」
家庭の医学大全科「脂漏性皮膚炎」
家庭の医学大全科「粃糠性脱毛症」
日本医真菌学会「Malassezia と脂漏性皮膚炎 ・アトピー性皮膚炎 –」
病院検索ホスピタ「粃糠性脱毛症」
Medical Note「粃糠性脱毛症」
兵庫県医師会「脂漏性皮膚炎で髪の毛が抜ける」
ひまわり皮フ科「女性男性型脱毛症(FAGA)」
Dクリニック大阪メンズ「女性にもAGAはある?「FAGA(女性男性型脱毛症)」について」
Doctors File「橋本病」
伊藤病院「橋本病とは」
M3.com「産後の抜け毛に学会が助言【米国皮膚科学会】」
難病情報センター「全身性エリテマトーデス(SLE)(指定難病49)」