U字ハゲの原因はAGA?それとも?治療の流れや今すぐできる対処法を紹介
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薄毛にはいくつかの進行パターンがあり、代表的なのはM字ハゲ、O字ハゲ、そしてU字ハゲです。中でもU字ハゲは重度な退毛のパターンのため、注意が必要です。
前頭部および頭頂部の薄毛や透け感が気になり、対処法を模索している方もいるのではないでしょうか。原因によっては治療が必要ですが、ご自身でできる対策・対処方法もあります。そこでこの記事では、U字ハゲの原因と対処方法を紹介します。
U字ハゲとは、どんな状態をいうの?
まず初めに、U字ハゲがどのような状態なのか簡単に説明します。U字ハゲに向かって薄毛が進行しているかどうか確認するためにも、U字ハゲの特徴をおさえておきましょう。
なぜU字ハゲというのか?その特徴は?
U字ハゲは、おでこから頭頂部(つむじ周辺)にかけて地毛が後退している状態です。側頭部や後頭部以外が広範囲に薄くなっているため、上から見るとU字の形をしています。
U字ハゲは薄毛がかなり進行しているケースがほとんどのため、M字ハゲやO字ハゲよりも厄介です。
U字ハゲはM字+O字ともいえる
U字ハゲは簡単に言うと、「M字ハゲ+O字ハゲ」です。M字ハゲはこめかみ上部がそり込み状に後退し、O字ハゲは頭頂部のみ薄くなります。
この二つがつながると、U字ハゲになります。つまり、広範囲にわたって薄毛が進行しているということになります。
U字ハゲの原因は?
なぜU字ハゲになってしまうのか……その原因は主にAGA(男性型脱毛症)ですが、他にもあります。
U字ハゲのほとんどがAGA
AGAとは男性型脱毛症のことを指し、U字に限らず、M字やO字も原因のほとんどがAGAにあります。
AGAは男性ホルモンの過剰な作用により、前頭部や頭頂部の正常なヘアサイクルが乱れる脱毛症です。男性ホルモンのテストステロンが、酵素「5αリダクターゼ」によって「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されます。このDHTが毛包のホルモン受容体と結合すると、髪の成長期間が大幅に短縮され、十分に成長する前に抜け落ちてしまう仕組みです。
5αリダクターゼにはI型とII型があり、AGAの発症・進行にはII型が主に関与すると考えられています。II型は前頭部・頭頂部・脇・ひげ・陰部などの毛乳頭細胞に分布し、頭部では脱毛を、それ以外の部位では発毛を促進するのが特徴です。このためAGAを発症すると前頭部や頭頂部から薄毛が進行し、U字ハゲになる場合があります。
AGAは一度発症してしまうと、薬以外の方法で進行を止めることはできないため、治療が推奨されています。
AGAについて、詳しくは髪コトの以下の記事で解説しています。
生活習慣の影響
生活習慣は髪の毛に大きく影響を与えます。生活習慣が悪いと、抜け毛や薄毛につながる可能性があるのです。例えば、以下のようなポイントが該当します。
•睡眠不足
•運動不足
中でも、食生活の乱れには注意が必要です。髪の毛を作るためには「タンパク質」「亜鉛」「ビタミンB群」などの成分が必要とされています。そのため、糖分や脂質ばかりの食生活だと、栄養が足りなくなり髪の毛が作られにくくなってしまうのです。
また、睡眠不足や運動不足は頭皮の血行不良につながりやすく、頭皮トラブルの原因になることもあります。
間違った頭皮ケア
頭皮にダメージが与えられると、抜け毛につながることがあります。以下は頭皮を傷つけてしまう要因のため、一つでも当てはまる方は要注意です。
•リンスを頭皮につけて使用している
•市販の髪染めを使い自分で髪の毛を染めている
•頭皮や髪の毛の紫外線対策をしていない
AGAが原因のU字ハゲはどうやって治療する?
AGAは進行性の脱毛症であるため、U字ハゲの原因がAGAなら、早めに専門クリニックで治療を受けることが大切です。AGA治療薬として効果が確かめられているものは限られます。個人輸入ができるAGA治療薬の中にはリスクの高い偽造医薬品も多数紛れ込んでいるため、専門医による問診・診察・処方を受けましょう。
専門医による問診・診察を受ける
AGA治療の専門クリニックでは、まず受付で問診票を受け取り記入します。その後、専門医による問診・診察を受け、治療法を決定していく流れです。
問診票では、毛が抜け始めた時期や部位、現在の髪のハリや抜け毛の程度、過去の治療歴などを記入します。AGAには遺伝的要因があるため、「家族に薄毛の方がいるか」といった質問項目も含まれます。
次に専門医による問診・診察が行われます。症状の経過や生活環境などについて質問を受け、頭髪の写真撮影や視診・触診により、頭髪・毛根・頭皮の状態を確認してもらいます。その上で、AGAの進行程度や全身状態に合わせた最適な治療法について説明を受けることになります。
内服薬・外服薬を使用する
AGAの専門クリニックでは、主に投薬療法がアプローチの中心です。推奨される薬剤は、外用薬ではミノキシジル、内服薬ではプロペシア(フィナステリド)またはザガーロ(デュタステリド)です。これらは日本皮膚科学会から発毛・育毛剤としての推奨度最高ランクAを付与された医薬品です。
ミノキシジル外用薬は、毛包細胞の増殖やタンパク質合成を促進し、さらに血管拡張作用で毛包周囲の血流を改善することで、髪の成長期間を延長する効果があります。
一方、プロペシアとザガーロは、5αリダクターゼ酵素を阻害し、テストステロンからDHTへの変換を抑制することで、ヘアサイクルの正常化を図ります。プロペシアはII型のみ阻害しますが、ザガーロはI型・II型の両方を阻害するため、より強力な効果が期待できます。
異なる作用機序を持つミノキシジルとプロペシア、ザガーロを併用することで、相乗的な治療効果が得られる可能性があります。
経過を観察する
AGA治療は効果が実感できるまで時間がかかり、費用も高額になる点に留意が必要です。また、期待していた発毛効果が得られない場合や、治療を中止すると元の薄毛状態に戻ってしまうこともあり得ます。
ミノキシジルとプロペシア、ザガーロはいずれも、ヘアサイクルの正常化を通じて発毛効果を発揮する薬剤です。ミノキシジル外用薬は配合量にもよりますが、効果が現れ始めるまでに最低4か月程度を要します。
プロペシア、ザガーロについても、すぐに効果が出る内服薬ではありません。プロペシアでは早い場合で3か月程度、ザガーロでは半年から1年ほどかかる可能性があります。個人差はありますが、おおむね半年は経過を見守る必要があります。
また、投薬開始から1〜3か月の間は、ヘアサイクルの正常化過程で一時的な脱毛(初期脱毛)が起こる可能性も知っておきましょう。さらに、頭痛・目まい・性欲減退・肝機能障害などの副作用が生じる場合も稀にあります。
AGA治療経験者に効果についてアンケート調査した記事は、以下からご覧ください。
自分でできるU字ハゲへの対処方法
AGA治療を受けても受けなくても、生活習慣の改善などにより、髪の生育に適した頭皮環境を整えることは重要です。ここでは、ご自身でできるU字ハゲの対処方法を解説します。
頭皮環境を良くしておく
頭皮環境を良くすることで、これ以上の抜け毛が防げる可能性があります。薄毛の原因が頭皮トラブルのみならずAGAである場合も、頭皮の環境を整える努力をしましょう。
例えば、生活習慣を見直す、正しくシャンプーをする、頭皮のマッサージをする、そして育毛剤の使用がおすすめです。この4つについて、説明していきます。
生活習慣を見直す
前半でも少し触れましたが、食生活の乱れ、睡眠不足、運動不足などの生活習慣は抜け毛や薄毛に大きく影響を与えます。
U字ハゲに対処したい場合、まずは生活習慣を見直しましょう。健やかな髪の毛を維持するためにも、タンパク質、ミネラル、そしてビタミンがたっぷり含まれたバランスの良い食事を摂ることが重要です。
また、睡眠不足の場合寝ている間に分泌されるはずの成長ホルモンが足りなくなるため、最低でも7~8時間は睡眠時間を確保しましょう。
運動不足による血行不良は、髪の毛に必要な栄養が頭皮に届かなくなってしまう可能性があります。日頃からなるべく体を動かし、血液の循環を良くすることも大切です。
コロナ禍以降、テレワークによる在宅勤務をされている方が増えています。平常時の通勤では、駅の階段を昇り降りするだけでも結構な運動になっていたのです。テレワークで運動不足を感じている方は、日課として運動を意識することが大切です。
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正しくシャンプーをする
日頃からシャンプーをすることで、皮脂の詰まりが解消され頭皮が清潔に保てます。健やかな髪の毛を維持するためにも、シャンプーは欠かさずに行いましょう。
最もおすすめの洗髪方法は「もみ洗い」です。シャンプーを手のひらに取りしっかり泡立ててから髪の毛をもむように洗いましょう。ゴシゴシとこすらず、なるべく優しく行うことで頭皮のダメージを防げます。また、ぬるま湯で泡が残らないようにすすぎましょう。
頭皮のマッサージをする
頭皮マッサージは、頭皮の血流の改善が期待できます。頭皮の血流がスムーズになると、栄養が髪の毛に届きやすくなるため、薄毛や抜け毛の対策につながる場合があります。
額、頭頂部の頭皮が後頭部の頭皮と比べて張って動きにくくなってる場合は、血行が悪くなっている可能性があります。頭皮をほぐすためにマッサージは大切です。
以下記事では、より詳しい頭皮マッサージについて解説しています。
育毛剤を使用する
育毛剤は、頭皮の血行を促し栄養を与える働きがあります。ハリやコシのある毛髪を育てたいときに使ってみると良いでしょう。髪の毛が抜けにくくなり、ボリュームを保つことも期待できます。
また、将来的な抜け毛予防にも効果的です。使用する育毛剤にもよりますが、基本、少なくとも1日に2回は塗布するようにしましょう。
ただし、髪が生える効果があるわけではないので、あくまで「今ある髪の抜け毛予防に有効的=これ以上U字ハゲを進行させないもの」ということは念頭におきましょう。
髪コトでは、育毛剤・発毛剤ユーザー100人に、使用効果に関するアンケート調査を行いました。以下からご覧ください。
U字ハゲでも似合う髪型は?薄毛が改善するまでの対策
投薬治療でも頭皮環境の自己改善でも、効果が実感できるまでには時間がかかります。自毛植毛を検討したことがある方もいるかもしれませんが、より確実かつ安全な対処法として、デザインカットや増毛(結毛・ウィッグ)がおすすめです。
自毛植毛
自毛植毛は、薄くなった部分に自分自身の髪の毛を移植し、髪の毛を再生させる治療法です。
医療行為なので頭皮が炎症しにくいなど安心感があるというメリットがありますが、U字のように範囲が広い薄毛には向いていません。施術したとしても、時間がかかる上、高額になるでしょう。
デザインカット
U字ハゲの方でも地毛を生かしてかっこいいデザインカットができます。
ソフトモヒカンはU字ハゲの方に相性が良い髪型です。例えば、耳周りや襟足の膨らんだ髪を刈り、頭頂部と毛量や色の濃さをそろえます。側頭部・後頭部からトップに髪を集めることで、きれいなシルエットを作りつつ上方向にボリュームを出せる髪型です。
全体を短く刈って、おしゃれ坊主にするのもおすすめです。薄毛部分と側頭部・後頭部の色の差を調整しやすく、日々のスタイリングも楽になるでしょう。0mmからグラデーションをかけるスキンフェード坊主にすると、側頭部・後頭部の地肌の露出がより多くなり、前頭部・頭頂部の髪色を強調できます。
U字ハゲの方に最適な提案ができるのは、薄毛の悩みを熟知した理・美容師です。薄毛専門理・美容室スヴェンソンは、地毛だけでかっこよく仕上げる「デザインカット&スタイリング」サービスを提供しています。詳細が気になる方は、以下よりチェックしてみてください。
増毛(結毛・ウィッグ)
増毛は、すぐにできる薄毛の対処法です。
「フルウィッグ」と「部分ウィッグ」がありますが、U字ハゲの場合は薄毛の部分が広いため、部分ウィッグでも面積が大きい製品を使うケースが多いです。フルウィッグも含めて検討してみるとよいでしょう。
増毛は基本的に、「編み込み式増毛」「結毛式増毛」「粘着式増毛」そして「着脱式増毛」の4種類があります。各種類の特徴について、簡単にご紹介します。
•結毛式増毛:地毛に人工の毛材を結び付けるタイプ。薄毛がそこまで進行していなく、自然とボリュームアップしたい方におすすめ。
•粘着式増毛:シートを頭皮に貼り付けるタイプ。地毛が全くない方におすすめ。
•着脱式増毛:ピンなどを使ってカツラを固定するタイプ。状況に合わせてカツラを着け外ししたい方におすすめ。
増毛を検討する場合は、薄毛の進行度合いや髪の毛の状態により見極めるとよいでしょう。詳しくは以下の記事でも解説しています。
薄毛専門理・美容室スヴェンソンは、3本の糸で地毛ウィッグを固定する、見た目の自然さと快適さを両立した24時間着脱不要の「スヴェンソン式増髪法」と、シーンに合わせて自分で着脱できる「クイックフィット」を提供しています。スヴェンソン独自の増髪法に興味のある方は、以下よりチェックしてみてください。
まとめ
M字ハゲやO字ハゲよりも薄毛が進行しているU字ハゲは、これ以上の進行を止めるためにも、なるべく早い段階で対処することが重要です。
まずは生活習慣を改善し、頭皮を清潔に保つことから心がけてみてください。
薄毛男性は仕事においてどんな影響があるのか、女性200人に調査した記事も公開しています。新たな気付きも得られると思いますので、ぜひご参考にしてください。
参考文献
https://monde.jp/blog/?p=12306
https://hagemag.com/scalp-inflammation
https://bitouhi.com/scalp_desolate_2241/
https://customlife-media.jp/aga-medical-treatment
https://www.osaka-itcl.com/knowledge/aga/
公開日:2024/09/04