ハゲの予防と食べ物の噂。「◯◯を食べるとよい/はげる」は本当?
株式会社スヴェンソン所属。毛髪技能士の資格を有する、髪のプロで構成された編集スタッフ。髪コトを通して、皆さまが抱える髪の悩みや不安、疑問を少しでも解決できるよう、分かりやすく情報を届けていくことを心掛けています。
髪の生育にはタンパク質・亜鉛・ビタミンなどの栄養素が関わるため、日々の食事からバランス良く摂取することが大切です。一方で、ハゲの予防と食べ物の関係について、真偽の怪しい噂もあります。
薄毛予防に効く食べ物や食習慣について、理解を深めたい方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、ハゲ予防に効く栄養素や食事メニュー、併せて取り入れたい薄毛予防習慣について紹介します。
ハゲの予防に効く食べ物ってあるの?
正常なヘアサイクルの維持には、毛母細胞の細胞分裂やホルモンバランス、頭皮環境や血行などさまざまな要因が関わります。「◯◯を食べるとはげる」という食べ物、また「◯◯を食べていればはげない」という食べ物はあるのでしょうか。
「◯◯を食べるとはげる」という食べ物はない
医学的な観点では、薄毛と食べ物に直接的な関係はありません。「◯◯を食べるとはげる」という噂もありますが、特定の食品を摂取することで薄毛になることはないというのが医学的な知見です。
ただし、食生活の乱れが薄毛の間接的な要因となることはあります。正常なヘアサイクルを維持するには、毛母細胞に栄養素を届けることや、頭皮環境を健康に保つことが必要です。食習慣や摂取する食品の影響により、栄養素の吸収・合成や細胞分裂を阻害したり、血行不良を招いたりすることはあり得ます。
「◯◯を食べていればはげない」という食べ物もない
「薄毛予防にコーヒーが良い」「ワカメも良い」などという噂もありますが、特定の食品を摂取するだけで髪が増えるというエビデンスはありません。食生活の改善はあくまでも栄養学的な観点から、薄毛の予防や進行の抑制に効果を期待できるものです。またAGA(男性型脱毛症)を発症していたら、食べ物を見直すだけでは治癒できません。
例えば、髪の主成分はケラチンと呼ばれるタンパク質ですが、これはシスチン・グルタミン酸・アルギニンなど複数のアミノ酸から構成されます。材料となる複数の栄養素が十分に供給されなければ、ケラチンはうまく合成されません。
他にもビタミンやミネラルなど、正常なヘアサイクルの維持には多種多様な栄養素が関与します。特定の食品ばかり摂取すると供給される栄養素に偏りが生じるため、重要なことは栄養のバランスです。
ハゲ予防のために摂取したい栄養素一覧
ハゲ予防に効果のある栄養素には、髪の主成分であるケラチンの合成に関するものや、血行・頭皮環境の改善に役立つものがあります。AGAの発症に関わる「5αリダクターゼ」の抑制や、髪の成長因子「IGF-1」の分泌を促進するものなども重要です。普段の食事で以下のような食品・栄養素を取ることを心掛けましょう。
栄養素 | 効果 | 含まれる食品 |
タンパク質 | 髪の主成分(ケラチン)の元 | 牛肉・ラム肉・鶏肉・レバー・卵・乳製品・大豆製品など |
亜鉛 | アミノ酸をケラチンに合成、5αリダクターゼ抑制 | レバー・牡蠣・魚介類・煮干し・パルメザンチーズなど |
ヨウ素 | 甲状腺ホルモンの合成、毛母細胞の活性化、血管の老化防止 | 海藻類(コンブやワカメなど) |
コラーゲン | 毛包幹細胞の保護 | 牛すじ・鶏手羽先・鶏皮・軟骨・豚スペアリブ・ウナギ・フカヒレなど |
ビタミンA | ケラチンの合成サポート、活性酸素の抑制、血中の悪玉コレステロール生成防止 | 豚レバー・鶏レバー・ウナギ・バター・鶏卵など |
ビタミンB2 | 皮膚や髪の成長サポート、頭皮の皮脂コントロール、毛母細胞の活性化 | レバー・ウナギ・ブリ・納豆・牛乳など |
ビタミンB6 | タンパク質をアミノ酸に分解促進 | 赤身肉・鶏肉・マグロ・バナナ・牛レバー・カツオなど |
ビオチン(ビタミンB7) | ケラチン合成サポート、コラーゲン生成サポート、血管拡張 | 鶏レバー・豚レバー・卵黄・豆類など |
ビタミンB9(葉酸) | 造血作用、毛母細胞の活性化 | 鶏レバー・ブロッコリー・ほうれん草・春菊・アスパラガスなど |
ビタミンC | 亜鉛の吸収を補助、コラーゲンの生成を補助 | パプリカ・ブロッコリー・芽キャベツ・レモン・オレンジなど |
ビタミンE | 血管拡張、毛母細胞の活性化 | 卵・アーモンド・オリーブオイル・アボカドなど |
イソフラボン | 5αリダクターゼ抑制、IGF-1の分泌促進 | 大豆およびその加工食品(納豆・豆腐・豆乳・きな粉など) |
フコイダン(褐藻エキス) | 毛母細胞の活性化 | ワカメ・コンブ・ヒジキ・アカモクなど |
エピカテキンガレート(EGCg) | 5αリダクターゼ抑制 | 緑茶など |
イヌリン | IGF-1の分泌促進 | チコリ・ニンニク・ゴボウ・タマネギなど |
ハゲ予防におすすめの食事メニュー例
ハゲ予防には、日々の食事からタンパク質・亜鉛・ビタミン類などをバランス良く摂取することが大切です。ここでは、ハゲ予防におすすめの食事メニュー例を解説します。
レバニラ炒め
レバーは高タンパクで、亜鉛をはじめとするミネラルやビタミン類も豊富に含んでいます。またニラやタマネギには殺菌作用や抗酸化作用も期待でき、レバーとニラをふんだんに使ったレバニラ炒めは薄毛予防に効果的です。
レバーには牛・豚・鶏といった種類がありますが、薄毛予防効果という意味では豚レバーをおすすめします。健康な髪の成長を補助しつつ、血行の改善や頭皮の過剰な皮脂分泌を抑える効果も期待できるでしょう。
ゴーヤーチャンプルー
ゴーヤーはビタミンCが豊富な野菜で、ゴーヤーチャンプルーはゴーヤーと豆腐などを炒めた料理です。ゴーヤーをふんだんに使ったゴーヤーチャンプルーは、毛包幹細胞を保護するコラーゲンの生成を補助します。
豆腐は5αリダクターゼ抑制効果のあるイソフラボンを含み、豚肉や卵と一緒に炒めれば良質なタンパク質を摂取できるのもポイントです。ケラチンの合成に必要な栄養素を摂取しつつ、健康な髪を育てる頭皮環境を維持することに役立つでしょう。
牡蠣のレモン蒸し
牡蠣は「海のミルク」と呼ばれるほど栄養価に富み、亜鉛やビタミン類を豊富に含む二枚貝です。髪の主成分であるケラチンは、食品から吸収したタンパク質をアミノ酸に分解し、アミノ酸を再合成することで生成されます。アミノ酸の再合成には亜鉛が必要ですが、牡蠣は亜鉛の摂取源として有力な食材です。
またレモンに含まれるビタミンCやクエン酸には、亜鉛の吸収を促す効果があります。牡蠣とレモンは亜鉛の吸収という意味で非常に相性がよく、牡蠣のレモン蒸しは薄毛予防に効果的な料理です。
オクラ納豆・キムチ納豆
大豆を発酵させた納豆は、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをするイソフラボンを豊富に含みます。イソフラボンは、AGAの発症機序に関わる5αリダクターゼの働きを抑制し、毛母細胞を活性化させるIGF-1の分泌促進も期待できる栄養素です。また納豆からは、髪の生育に関わるタンパク質・ビタミン群・ミネラルも効率よく吸収できます。
オクラや納豆はコラーゲンを豊富に含むため、オクラ納豆は健康な髪を育てるのに役立つでしょう。またキムチ納豆は、カプサイシンによって血行が促進され、納豆から吸収した栄養素が頭皮に行き届きやすくなります。
豆乳鍋
豆乳鍋は、大豆由来の豆乳と野菜・肉など、多くの食材をまとめて摂取できる料理です。豆乳からは5αリダクターゼ抑制効果のあるイソフラボン、緑黄色野菜からは血行改善効果のあるビタミンAなどを摂取できます。
鶏むね肉や鮭なども一緒に煮込むと、ケラチンの材料となるアミノ酸の一種、シスチンを豊富に摂取できることもポイントです。キムチを入れて豆乳キムチ鍋にすれば、カプサイシンの効果で血行が促進されます。
鶏肉とナッツの炒め物
アーモンド・ピーナッツ・カシューナッツといったナッツ類は、ケラチンの合成に必要な亜鉛を豊富に含み、タンパク質やビタミン群もバランス良く摂取できる食材です。ただしナッツ類は高カロリーということもあり、やや料理に取り入れにくいかもしれません。
鶏肉とナッツの炒め物は、ナッツ類を手軽に摂取する料理としておすすめです。鶏肉は高タンパク・低脂肪で、ビタミンB群や亜鉛、コラーゲンも摂取できます。またナッツ類はおつまみとしてもおすすめです。
ハゲに大敵!薄毛予防を妨げる食べ物・食習慣
「◯◯を食べるとはげる」という食べ物はありませんが、薄毛を助長する食べ物はあります。例えば高カロリー・高脂質、糖分・塩分の多い食べ物です。また薄毛につながりやすい食習慣にも注意しましょう。
高カロリー・高脂質
高カロリー・高脂質な食べ物は、皮脂の過剰分泌を招き、毛穴の詰まりなどの原因となりかねません。頭皮の皮脂膜には、紫外線や細菌などの外的刺激からの保護や、皮膚の保湿などの役割があります。ただし皮脂分泌が多過ぎると頭皮環境を悪化させ、薄毛進行のリスクが高まることは注意点です。
ファストフード、ラーメン、揚げ物などの高カロリー・高脂質な食べ物は、なるべく避けるようにしましょう。
糖分・塩分が強い
糖分の過剰摂取は血糖値を急上昇させ、インスリンの働きにより血中脂質が増加します。血糖値を下げられなければ高血糖、血液中のコレステロールや中性脂肪が多過ぎると脂質異常症となり、いずれも「血液がドロドロ」といわれる状態になります。
また塩分の摂り過ぎは高血圧や腎機能の低下を招きます。血管に重い負担がかかり続けると次第にもろく、傷つきやすくなり、血行不良を招きやすい状態になります。結果、薄毛につながりかねません。
穀物やチョコレート、ケーキなど糖質の多い食べ物や、ラーメン、ポテトチップスなどの塩分の高い食べ物は、取り過ぎに注意しましょう。
頻繁・過剰なアルコール
アルコールを摂取すると、その大部分が肝臓で処理されます。まずアルコールからアセトアルデヒドに、さらに酢酸に分解され、最終的に水と二酸化炭素に分解され排出される仕組みです。分解しきれないアセトアルデヒドは、AGAの発症に関わる男性ホルモンを増加させる恐れがあります。
またアルコール代謝の過程で、髪の生育に必要なアミノ酸・亜鉛・ビタミン群を消費することも注意点です。適量のお酒はストレス解消になることもありますが、過度の飲酒は避けましょう。
就寝前の食事
入眠後には髪の生育に必要なホルモンが活発に分泌されますが、入眠前に食事を取ると、消化吸収のために胃腸の活動が活発になります。血流が胃腸に集中すると頭皮に栄養を届けにくくなり、眠りも浅くなることで、髪が成長しにくい状態になってしまうことは注意点です。
また入眠前の食事は脂肪の蓄積を招きやすく、肥満体質になると皮脂の過剰分泌による頭皮環境の悪化により、薄毛を進行させかねません。食事は少なくとも入眠の2~3時間前に済ませることを心掛けましょう。
無理なダイエット
過度な食事制限を伴うダイエットは、薄毛を進行させる恐れがあります。髪は摂取された栄養素を体内で合成して作り出されるため、必要な栄養素やエネルギーが不足すれば、正常なヘアサイクルは維持されません。
摂取する栄養が極端に不足すると、髪の生育より生命維持が優先され、髪や頭皮に十分な栄養が回されなくなります。髪がパサついたり細く弱々しくなったりし、頭皮環境の悪化やストレスによる脱毛も起こるでしょう。
ホルモンバランスの乱れによる頭皮疾患の発症や重症化も懸念点です。ダイエットは栄養のバランスを重視して行いましょう。
外食中心の生活
外食の頻度が高いと、髪の生育にとって好ましくない栄養状態になっているかもしれません。外食は油や香辛料を多用した、栄養より味の満足感を優先したメニューも多く、摂取する栄養のバランスは偏りがちです。
動物性脂肪の多い高カロリーなメニューなどを選びがちなら、脂肪分の取り過ぎにより肥満体質になりやすく、皮脂の過剰分泌を招く恐れもあります。どうしても外食が多くなってしまうなら、ビタミンや亜鉛などもバランス良く取れるメニューを選びましょう。
食べ物と合わせて取り入れたい薄毛予防習慣
バランスの良い食事や適切な食習慣はハゲ予防にとって大切ですが、他にも取り入れたい薄毛予防習慣があります。例えばサプリメントによる栄養補助や適切なヘアケア、適度な運動や良質な睡眠です。
サプリメント
髪の生育に必要な栄養素は、食品から摂取できます。とはいえ日々栄養バランスに気を遣って献立を考えるのは難しい場合もあるでしょう。食品から摂取しにくい栄養素に関しては、サプリメントを活用するのも有効です。
亜鉛やビタミンなどさまざまな栄養素のサプリメントが販売されているため、不足しがちな栄養素を補うのもよいでしょう。とはいえ過信は禁物です。サプリメントに期待できるのはあくまで薄毛の予防で、多量に摂取したからといって一気に発毛するわけではありません。
ヘアケアの見直し
薄毛の原因はAGAだけではなく、血流低下による栄養の循環不良や、毛穴の詰まりによる炎症などさまざまです。シャンプーやドライヤーなど日ごろのヘアケア習慣の見直しにより、頭皮環境は改善できます。
洗髪時にはお湯で予洗いをして、泡立てたシャンプーで皮脂を落とし過ぎない程度にしっかりと洗い、泡が残らないよう完全に洗い流すことがポイントです。洗うときは頭皮を傷つけないよう、爪を立てず指の腹を使うことを意識してください。また、自然乾燥やドライヤーの熱風で頭皮を乾燥させないように注意しましょう。頭皮が硬くなることで血管が圧迫され毛乳頭細胞の機能低下を起こしていることもあるため、頭皮マッサージで凝りをほぐすことも効果的です。
日頃のヘアケアに加え、プロによる施術を受けることも効果的です。薄毛専門理・美容室スヴェンソンの「頭皮ケア&クレンジング」では、自宅では取り切れない毛穴の奥深くに詰まった老廃物や酸化した皮脂、スタイリング剤の残留物などを特殊な酵素で取り除きます。正しいシャンプーやマッサージの仕方も教えてくれるので、自宅での日々のケアも改善できます。詳細は以下からチェックできます。
適度な運動
適度な運動を取り入れて血行を改善することも効果的です。背中全体を覆う僧帽筋やふくらはぎの筋肉は、頭部まで血液を循環させるポンプの役割を担います。肩回しやスクワットなどで筋肉を刺激し、血行を促進しましょう。ウォーキングや軽いジョギングなど適度な有酸素運動も効果的です。
良質な睡眠
髪を成長させるホルモンは、入眠後3時間に最も多く分泌され、徐々に減少します。「睡眠のゴールデンタイム」と呼ばれる固定的な時間帯は俗説で、その普遍性を証明するエビデンスはありません。
人によって生活リズムは異なるため、重要なことは睡眠の質を高めることです。入浴は就寝2時間前までに済ませ、就寝前にスマホを触らないようにするなど、深い睡眠を取りやすい習慣を取り入れましょう。
まとめ
髪は食品から摂取した栄養素を合成して作り出されます。髪の主成分であるケラチンの材料となるタンパク質や、アミノ酸の再合成に必要な亜鉛、髪の生育を補助するビタミン類などをバランス良く摂取しましょう。
食生活を見直しても、血行不良や不健康な頭皮環境などは改善しにくい場合もあります。適度な運動で筋肉を刺激する他、適切な洗髪や頭皮マッサージの習慣を取り入れることも大切です。
薄毛専門理・美容室スヴェンソンでは、地毛を活かして薄毛が目立たない髪型にする「デザインカット」とセットになったコースが、お得な初回限定価格で体験できます。ご興味のある方は以下からチェックしてみてください。