毛根の形で薄毛がわかる!毛根から髪の健康をみてみよう

株式会社スヴェンソン所属。毛髪技能士の資格を有する、髪のプロで構成された編集スタッフ。髪コトを通して、皆さまが抱える髪の悩みや不安、疑問を少しでも解決できるよう、分かりやすく情報を届けていくことを心掛けています。

カーペットや床を掃除している時、髪の毛が落ちているのを見かけることはたくさんありますよね。

髪が健康な人でも、髪の毛は1日に平均50本~100本抜け落ちているので、これは自然なことです。

多くの人は抜け毛をそのまま捨ててしまいます。でも、次に見つけた抜け毛はすぐに捨てずに、一度観察してみましょう。

実は、抜け毛の毛根であなたの髪の健康状態がわかるのです。

この記事を監修してくださったのは、WebメディアやInstagramを中心にスキンケア知識の啓発に務める、医師の吉岡容子先生です。

監修者
医療法人容紘会 高梨医院 皮膚科・美容皮膚科 副院長 吉岡 容子 先生
  • 高梨医院
  • 皮膚科・美容皮膚科
  • 副院長 吉岡 容子
  • 東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局
  • 明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚 院長を務めたのち、
    2014年「高梨医院 皮膚科・美容皮膚科」を開設。2019年より副院長。

【資格】
麻酔科標榜医、麻酔科認定医、高濃度ビタミンC点滴療法認定医、日本レーザー医学会会員、
日本美容皮膚科学会会員、日本抗加齢医学会会員、点滴療法研究会マスターズクラブ会員

※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的なクリニックや施術や商品等を推奨しているわけではございません。

なぜ髪の健康状態がわかるのか?

“髪の毛”と一言でいいますが、これは「毛幹」と「毛根」の2つに分類できます。

「毛幹」は、普段、自分で触ることができる部分です。一方の「毛根」は、地肌のなかに埋まっている部分のこと。この毛根に、髪の成長に不可欠な毛乳頭と毛母細胞が含まれています。

毛の構造イラスト

髪が成長する仕組みを簡単に解説すると、毛乳頭が毛細血管から栄養や酸素を吸収し、毛母細胞が細胞分裂を繰り返すことで、髪が成長するという流れです。

このことからわかるように、髪の成長には毛乳頭へ送られる栄養や酸素、それを届けるための血行などが大きく関係しています。 つまり、毛根は髪を育てる中心的な役割を果たしているのです。

ゆえに毛根が健康的でない場合、髪の健康状態が不健全である可能性があります。

髪の健康状態がわかる毛根の形をみてみよう

さて、毛根の形が髪の健康状態に関わる理由がわかったところで、さっそく自分の毛根の形を見てみましょう。

髪を見るにあたっては、自分で抜いてしまうと頭皮が傷んでしまう場合もあるので、お風呂あがりや髪を乾かした際などの自然と抜けた髪を使ってください。

白い紙を用意して、その上に髪を置いて虫眼鏡などで見ると、毛根の形がはっきりとわかります。

健康な髪

健康な髪

健康な髪は、毛根の根元に近づけば近づくほど白くなっており、下がふくらんでいるきれいなマッチ型になっています。毛先にいけばいくほど細くなっているのが理想的な髪の毛です。

毛根が細くなっている

毛根が細くなっている

通常の毛根よりも小さく、細い場合、毛根の寿命が短くなってきています。主な原因は栄養不足、血行不良が考えられます。
原因:栄養不足、血行不良

毛根がなく、棒のように真っ直ぐになっている

棒のように真っ直ぐになっている

毛根が見られず、棒のように真っ直ぐになっている形は、やはり毛乳頭への栄養が足りておらず、髪が弱くなっています。
原因:栄養不足、血行不良

毛根の先端から毛が生えている

毛根の先端から毛が生えている

毛根の先から細い毛が出ている場合、新たに生えてきた髪も一緒に抜けてしまっている状態です。毛根が頭皮にうまく根付いていないので、薄毛になる可能性があります。

しかし、根元の細胞はまだ生きているので、シャンプーの銘柄や髪の洗い方、食生活から改善することができます。
原因:ストレス、乾燥、栄養不足、血行不良

毛根がギザギザ

毛根がギザギザ

毛根がギザギザしている場合、過度なダイエットや強いストレスなどの要因が考えられます。

また、毛根が細くなっていたり太くなっていたりを繰り返しているものは、繰り返し脱毛しており、慢性化している可能性があります。
原因:ストレス、脱毛の繰り返し

毛根が尖っている

毛根が尖っている

毛根の先が細く尖っている場合、ストレスやホルモンバランスの異常などが考えられます。円形脱毛症によくみられる毛根です。
原因:ストレス、ホルモンバランス異常

毛根に白い付着物がある

毛根に白い付着物がある

毛根に白い付着物がある場合、皮脂の過剰分泌や洗い残しが考えられます。シャンプーをアミノ酸系などのあまり刺激のないものに変えたり、洗い方を見直してみましょう。
原因:皮脂分泌多量、洗い残し

不健康な髪の毛の改善・解決方法

毛根の形によって原因は異なるので、万能な解決方法はありません。

しかし、原因となったものをひとつひとつ改善していけば、健康な髪の状態に戻すことができます。

自分の毛根が今どの状態なのか、思い当たる節はないかを思い返しながら、健康な髪を取り戻す参考にしてみてください。

1. 栄養不足>>食生活を見直す

健康的な食生活のイメージ画像

主な原因に栄養不足が挙げられている場合は、食生活を見直すことが一番です。

「食事が偏っているかも」と自覚のある方も多いのではないでしょうか。でも、具体的にどうやってバランスよく栄養を摂取すれば良いのかは、判断しにくいですよね。

そんなあなたには、ひとつの参考資料として、農林水産省が発表している「早分かり!食事バランスガイド」をおすすめします。

ざっくりとポイントを抑えたい方は『「何を」「どれだけ」を5つの料理グループで表示』を確認してみましょう。ここには、栄養バランスがしっかりした食事を摂るにはどうすれば良いかが書かれています。ぜひ、意識した食事を行ってみてください。

その上で、髪に関係する栄養素を理解し、それを多く含む食材を摂りましょう。髪の大部分を構成するのはケラチンというタンパク質です。このたんぱく質は、必須アミノ酸と呼ばれる、食事からしか摂取できない栄養で構成されています。

冬にオススメのタンパク質が多い食材は以下の3つです。

タラ:低カロリー、低脂質な冬魚です。
サバ:多く含まれる不飽和脂肪酸には、コレステロールや中性脂肪を減らす効果もあり、血行不良にも効果があります。
牡蠣:タンパク質の他にも、ケラチンを合成するのに必要な亜鉛を多く含んでいる優秀な食品です。

上記の他にも、タンパク質は鶏胸肉やささみなどにも多く含まれています。鶏肉は低カロリータンパク質なので、ダイエット中の方にもおすすめです。

しかし、アミノ酸を多く摂るだけで栄養が足りるわけでもなく、アミノ酸を吸収し、ケラチンを合成するための栄養素も必要です。

この吸収と合成を強く助けるのがビタミンの存在です。特に、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンEなどが多く必要になります。

ビタミンA:新陳代謝を促進する。皮膚や乾燥を防ぐ。卵黄やニンジン、ウナギなどに多く含まれています。
ビタミンB6:髪の成長を促進する。ジャガイモ、マグロ赤身、カツオなどに多く含まれています。
ビタミンE:血行を促進する。ウナギ、カボチャ、アーモンドなどに多く含まれています。  

ビタミンは、タンパク質を体内へ吸収し、ケラチンの構成を促進させます。また、ミネラルである鉄分も食事から摂取することで、血行を促進させます。
 
髪コトでは、髪に良い神メニューや薄毛を改善・対策する食べ物について、「薄毛は食べ物で改善できる~髪に良い食べ方、食べ合わせ~」の記事で解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

2. 血行不良>>生活に運動を取り入れる

階段を登ってウォーキングしている男性のイメージ画像

血行不良が原因の一端にある方は、日常生活のなかで少しずつ運動してみましょう。1週間に2〜3日程度、20分ほど軽い運動をするのが理想的です。

なかなか時間を取れない多忙な方は、通勤の際に1駅歩いたり、エレベーターを使わずに階段を使うなど、日常の行動を少しずつ運動に変えていくだけでも効果があります。

また、肩こりも血行不良によって引き起こされることが多くあります。肩や首の血管が収縮することが主たる原因ですが、ここは心臓から頭に血液を送る重要な道なので、髪にとって大敵なのです。

叩いたり、揉んだり、さすったりするだけでも効果があるので、マッサージでほぐしてください。もちろん、ウォーキングやジョギングのような有酸素運動も肩こり解消に効果的ですよ。

3. 髪や頭皮のケア>>洗髪とドライヤーに注意

洗面台でドライヤーを使って髪を乾かしている男性のイメージ画像

髪や頭皮のケアでは、洗髪やドライヤーのときなどに注意しましょう。シャンプーを刺激の少ないアミノ酸系のものに変えたり、洗髪前に髪をブラッシングするだけでも、髪の汚れを粗方落とすことができます。

洗髪するときは、お湯の温度を38度〜40度の温度にすることで、髪や頭皮にダメージを与えずに洗髪ができます。シャンプーは、手で泡立ててから地肌に揉み込むようにして、指の腹で優しく洗いましょう。マッサージしながら指を動かすことで、頭皮全体の血行促進にも繋がります。

また洗髪以外でも頭皮マッサージを心がけると、より頭皮の血行が促進されます。つむじや耳のまわり、首の付け根などにリンパが集まっているので、円をかくように回しながら揉みほぐすと、リンパを刺激して、血流の流れを促進させることができます。1日1回5分程を目安に頭皮マッサージを心がけてみましょう。

その際にはマッサージオイルなどを使うと、頭皮を傷つきにくくしたり、好みの匂いを使うことでリラックス効果も得られます。

4. ストレス>>睡眠と気晴らし、ビタミンCの摂取

ビタミンCが含まれる食材のイメージ画像

ストレスを多く受ける環境にいると髪が抜けていくと言われることもありますが、実際にストレスは薄毛になる一因です。円形脱毛症を招いたり、ホルモンバランスや血行など、健康にも多大な影響があります。ホルモンバランスについては次の項目で解説していますので、そちらをご一読ください。

ストレスを減らすには生活環境を変えるのが一番ですが、それはなかなか難しいことなので、睡眠を1日6時間以上確保したり、気晴らしの運動で少しずつストレスを解消してください。ドライブをしたり、スポーツ観戦で白熱したり、カラオケなどで大声を出すのも良いですね。

また、ビタミンCはストレスホルモンの一種であるコルチゾールを低下させる効果があるので、積極的に摂取すると良いでしょう。ビタミンCは、レモンはもちろん、柿やキウイフルーツ、ピーマン、パセリなどに多く含まれています。以下の表をご参考ください。

野菜のアイコン 野菜   果物のアイコン 果物
赤ピーマン 170 ゆずの皮 150
パセリ 120 レモン(全果) 100
芽キャベツ 110 70
にがうり 76 キウイフルーツ 69
モロヘイヤ 65 いちご 62
ブロッコリー 54 レモン(果汁) 50
かいわれ大根 47 きんかん 49
小ネギ 44 かぼす(果汁) 42
にんにくの茎 39 オレンジ 40
西洋かぼちゃ 32 グレープフルーツ 36
ミニトマト 32 みかん 32
とうがん 27 バナナ 16
グリーンピース 23 さくらんぼ(国産) 10
小松菜 21 スイカ 10
ほうれん草 19 8

適度な睡眠のイメージ画像

ホルモンバランスの乱れの主な原因は、加齢とストレスです。男性ホルモンであるテストステロンの減少で起こり、主に疲労感、不眠、筋力減退、集中力の低下、うつ、めまいなどの症状があらわれます。

原因が加齢による場合、40代後半から減少してくるので、自分の体調と一緒に髪の健康状態もチェックしたいところです。

一方、男性ホルモンは皮脂の分泌を促す存在でもあります。ストレスなどによって男性ホルモンが過剰分泌されてしまうと、皮脂が多くなります。また、脂っこいものを多く食べるのも皮脂を過剰分泌する原因です。

適度な睡眠、適度な運動、自分の趣味の時間の確保、バランスの良い食事を心がけましょう。

最後に

あなたの毛根はどうでしたか?

毛根の形は、髪や頭皮だけでなく、あなたの健康状態を写す鏡なのです。もし毛根が不健康なら、それは体に悪いことを多くやってきたということかもしれません。

これを期に、生活を見直してみてくださいね。

薄毛をセルフチェックする方法は、毛根の形をチェックするだけではありません。他にも調べてみたい・知りたいという方は、ぜひ以下の記事で診断してみてくださいね。

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